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ポイント変換

「ねえ、アレン」


「なんだ?」


「ダンジョンポイントって、1Pで約1円だよね?」


「だいたいそんな感じだな」


「だったら、福引の景品にポイントを使ってお金を稼ぐのって、効率が悪いんじゃない?」


「良くはないな」


アレンはあっさりと認めた。


現在、アレンは教会から請求された高額な寄付金を支払うため、福引という金策を考えていた。豪華な景品からタワシまで、さまざまな景品を用意したハズレなしの福引だ。


景品をすべて交換すれば、使ったポイント以上の価値がある商品を手に入れられる者もいるだろう。しかし、景品を仕入れるために必要なポイントを考えれば、効率の良い金策とは言い難かった。


「だよね。もっと直接お金に変えたりしないの?」


「通貨に使われている金、銀、銅には変えたくないな」


「どうしてよ? 金なんて高く売れるじゃない」


「俺が大量に金を市場に流したら、金の価値が下がるだろ。通貨の価値まで不安定になったら、面倒なことになる」


「……ダンジョンマスターの考えること?」


「むしろ、お前が考えないといけないだろ」


「なんで私なのよ!」


アリスは理不尽だと言わんばかりに抗議した。


そもそも、金儲けの相談を持ちかけたのはアリスだ。アレンとしては、そこまで考えているのだから、少しくらい感心してほしいところだった。


「じゃあ、金や銀じゃなければいいのよね?」


「まあ、そうだな。貨幣の材料として使われていない金属なら、影響は少ないだろう」


「プラチナはどう?」


「プラチナか……」


アレンは少し考え込んだ。


「この世界ではプラチナの価値が低いからな。ポイント変換の効率の悪さでは、ずば抜けているぞ」


「えっ、そうなの?」


「そうだ。ポイントでプラチナを生み出しても、売却したときの金額がたいしたことないからな」


「でも、アクセサリー屋で見たことないんだけど」


「まだ加工できるほど技術が進んでいないんだよ。扱いにくい金属だからな」


「そっか……。プラチナは駄目か」


アリスは残念そうにうなだれた。


せっかく新しい金策を思いついたと思ったのに、肝心の商品に需要がないのでは話にならない。


ところが、アレンは何かを思い出したように口を開いた。


「いや、待てよ」


「なに? 何かいい方法があるの?」


「実は、安く買えるならかなりおいしいんだよな」


「えっ?」


「この世界ではプラチナに大した価値がない。だから、安く仕入れてダンジョンポイントに変換すれば、効率よくポイントを稼げる可能性がある」


「おおっ! それならプラチナを買い占めればいいんじゃない?」


アリスの目が輝いた。


「買い占めるほど市場に出回ってないけどな」


「……え?」


「そもそも、価値がないから採掘されていないんだよ」


「がっくし!」


アリスは机に突っ伏した。


せっかく見つけた抜け道が、入口にすらたどり着けなかった。


「じゃあ、ミスリルは? あれなら高く売れるんじゃない?」


「ミスリルか。確かに高く売れるな」


「だったら、ダンジョンポイントで大量に作って売ればいいじゃない!」


「ミスリルは生成に必要なポイントも多いからな。売却額との差額を考えると、わざわざ作って売る意味はあまりないかな」


「高く売れるのに?」


「高く売れるものが、必ずしも儲かるとは限らないだろ。仕入れ値が高ければ利益は少なくなる」


「うう……。夢がない」


アリスは再び肩を落とした。


高価な金属を大量に生み出して大儲け。


そんな景気のいい話を期待していたのに、アレンの説明を聞けば聞くほど、儲からない理由ばかりが出てくる。


「じゃあ、結局何が一番おいしいの?」


「金属なら鋼かな」


「……鋼?」


「そうだ。武器や防具、工具、建築資材。いくらあっても困らないし、需要もある。特殊な金属と違って、加工技術も確立されているからな」


「つまり?」


「安定して売れるってことだ」


「夢がないね」


アリスは心底がっかりした様子でつぶやいた。


「夢で商売ができるなら苦労しないだろ」


「でもさあ、ダンジョンポイントで何でも作れるのに、鋼を売って地道に稼ぐって……」


「何でも作れるからこそ、何を作れば利益が出るか考える必要があるんだよ」


「うーん……」


アリスは腕を組んで考え込んだ。


そして、何かを思いついたように顔を上げる。


「ねえ、アレン。鋼を使って武器を作って売るのは?」


「それなら、武器の製造に必要なポイントと売却額を比較する必要があるな」


「じゃあ、防具は?」


「同じだ」


「工具は?」


「同じだな」


「……もういいわ」


アリスは考えるのをやめた。


どうやら、簡単に大儲けできる方法などないらしい。


「結局、福引をやるのが一番なのかしら」


「まあ、景品を通じてポイントを消費してもらえるし、ダンジョンに人を呼び込む効果もある。単純な換金効率だけでは測れないからな」


「最初からそう言ってよ!」


「聞かれたから答えただけだろ」


「そうだけど!」


アリスは頬を膨らませた。


こうして、ダンジョンポイントを使った画期的な金策の研究は、鋼が一番無難という、なんとも夢のない結論に落ち着いたのだった。

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