↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
41/423

王妃様の密命

「アレン、またポイントがすごく増えてるよ」


ダンジョンコアが声を上げた。


「また?」


アレンはマスタールームでポイントの増加を確認する。


確かに、かなりの勢いでポイントが増えている。


「滞在している冒険者が、そこまで増えた様子はないよな」


「うん。冒険者の数だけを見ると、ここまでポイントが増える理由が分からない」


「じゃあ、原因はなんだ?」


アレンが考えていると、コアが別の情報を表示した。


「宝くじ箱に入っている魔石が、すごいことになってるよ」


「魔石が?」


「うん。さっきから大量に入れられてる」


「冒険者も増えてないのに、どうしてだ?」


アレンには理由が分からなかった。


その頃、ダンジョンの中では別の騒ぎが起きていた。


「あの紋章はなんだ?」


「見たことないぞ」


「あれは近衛兵じゃないか?」


「近衛兵?」


冒険者たちが入口付近でざわめいている。


普段、このダンジョンに来るのは冒険者や騎士団だ。


そこへ、明らかに雰囲気の違う一団が現れた。


揃った装備。


無駄のない動き。


そして、胸元には王家に仕える者であることを示す紋章。


「本当に近衛兵なのか?」


「らしいぞ」


「なんで近衛兵がダンジョンに?」


その噂を聞きつけ、隣で活動していた騎士団の隊長が近衛兵へ歩み寄った。


「近衛兵の皆様とお見受けします。我が部隊でお手伝いできることはありませんか?」


近衛兵の隊長は騎士団長を見る。


「あなた方は、子爵家の騎士団でしたね」


「はい」


「王妃様の覚えもめでたい子爵家だと伺っています」


騎士団長は嬉しそうに頭を下げた。


「王妃様に覚えていただいているとは、光栄です」


近衛兵隊長は周囲を確認してから口を開く。


「我々は王妃様から密命を受けて、このダンジョンへ来ています」


「密命……」


騎士団長の表情が引き締まった。


「詳しい内容をお話しすることはできません。ただ、協力していただけるのであれば助かります」


「もちろんです。我が騎士団でよければ、いくらでもお使いください」


「感謝します」


こうして隣の騎士団は、近衛兵の調査に協力することになった。


その様子を少し離れたところから見ていた別の騎士団は、完全に出遅れていた。


「……先を越されたな」


「はい」


「近衛兵が来たと分かった時点で、こちらから声をかけるべきだった」


「ですが、まさか王妃様からの密命とは……」


「それでもだ」


騎士団長は悔しそうに近衛兵たちを見る。


王妃から直接命令を受けた近衛兵。


そして、その任務への協力を認められた隣の騎士団。


自分たちは、その機会を逃してしまった。


一方、近衛兵たちはダンジョンの調査を進めていた。


今回、王妃から命じられていたことは二つある。


一つは、この特殊なダンジョンと意思疎通を取る手段を探すこと。


そしてもう一つは、他のダンジョンから得られる魔石について実験することだった。


「ダンジョンと意思疎通を取る手段が見つかれば、大きな意味があります」


近衛兵に同行している者が話す。


「このダンジョンだけでなく、他のダンジョンについても情報を得られる可能性がありますからね」


「それに魔石の実験も重要だ」


近衛兵隊長が答える。


「このダンジョンでは、魔石が明らかに重要な役割を持っている」


「魔石の価値が上がれば、調達もしやすくなるでしょう」


「そうなれば冒険者にも変化が出る」


魔石の値段が上がれば、魔石を求めてダンジョンへ向かう冒険者が増える。


これまで魔石を副産物として扱っていた冒険者たちにとっても、魔石そのものが目的になる可能性がある。


「さすが王妃様だ」


隣の騎士団長が感心したように呟いた。


「ダンジョンとの意思疎通が可能になれば、これまで分からなかったことも調べられる。魔石についても研究が進めば、調達が楽になるかもしれない」


「そして魔石の値段が上がれば、冒険者も増える」


「そういうことです」


今回の調査は、一つのダンジョンを調べるだけでは終わらない。


魔石の価値そのものが変われば、冒険者の行動も変わる。


商人も動く。


ダンジョンに潜る人間も増える。


そして、それは国全体の魔石の流通にも影響を与える可能性があった。


すでにアレンのダンジョンは、ただ冒険者が遊びに来る場所ではなくなりつつあった。


その頃、マスタールームでは――。


「アレン」


「ん?」


「またポイントが増えた」


「……またか」


アレンは表示される数字を見る。


冒険者の数が急激に増えたわけではない。


それなのに、ポイントは明らかに増えている。


「やっぱり変だな」


「宝くじ箱の魔石も増えてるよ」


「何が起きてるんだ?」


アレンには、その原因を知る手段がなかった。


ただ、ダンジョンの外で何かが起きている。


それだけは確かなようだった。


そしてアレンの知らないところで、王妃の命を受けた近衛兵によって、ダンジョンの調査が始まっていた。


アレンのダンジョンは、いつの間にか国にとって無視できない存在になり始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。