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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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400/427

400話記念

アレンは、お祝いを受けていた。


 ダンジョンマスター、四百話達成記念である。


 とはいえ、当のアレンには何のことだかよく分かっていなかった。


「今日はアレンへのプレゼントを用意しましたわ」


 クラリスが嬉しそうに言った。


「プレゼント? なんでまた?」


「四百話達成のお祝いですわ。いつもはアレンが私たちにプレゼントを贈ってくださいますから、今日は私たちから贈ろうということになりましたの」


「なるほど。そういうことか」


 いつもは自分が贈る側だが、今回は受け取る側らしい。


 せっかく用意してくれたのだから、ありがたく受け取ることにしよう。


「では、まずは私からですね」


 クラリスが取り出したのは、二つのキーホルダーだった。


「お揃いのキーホルダーを用意しましたわ」


「お揃い?」


「ええ。アレンと私で一つずつ持てば、いつでもお互いを身近に感じられますでしょう?」


 クラリスは満面の笑みを浮かべている。


 アレンは二つのキーホルダーを見比べた。


 デザインも同じで、二人で持つことを前提にした品物らしい。


「……ありがとう。大切にするよ」


 めっちゃ恋人っぽいプレゼントだった。


 いや、プレゼント自体は嬉しい。嬉しいのだが、これを見た人はどう思うだろうか。


 事情を知らない人間が見れば、二人は恋人同士だと思われてもおかしくない。


 もっとも、クラリスはそんなことを気にしていないようだった。


「ふふっ。お揃いですね」


「そうだな」


 アレンは余計なことを考えるのをやめた。


「次は私ですね」


 フローラが一歩前に出た。


「アレン、こちらをどうぞ」


 差し出されたのは、丁寧に仕立てられた服だった。


「これは?」


「新しい執事服ですわ。今お使いになっているものも悪くありませんが、こちらのほうがアレンに似合うと思いまして」


「執事服……」


 アレンは服を広げて確認した。


 確かに立派な品物だった。生地も上質だし、仕立てもいい。プレゼントとしては申し分ない。


 しかし、何かがおかしい。


「ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ」


「気に入っていただけたようで何よりですわ」


 フローラは満足そうに微笑んだ。


 アレンは改めて服を見た。


 俺の職業を勘違いしていないかな?


 確かに、セレスティアたちのお茶会で給仕をすることは多い。


 だが、アレンはダンジョンマスターである。


 執事ではない。


 ……まあ、せっかくもらったものだ。使う機会がないわけでもないだろう。


「次は私ですわ」


 今度はリリアがプレゼントを差し出した。


「お、リリアは何をくれるんだ?」


「こちらですわ」


 手渡されたのは、エナジードリンクだった。


「……エナジードリンク?」


「はい。疲れたときに飲めば、元気が出ますから」


「いや、実用的だけどさ……」


 アレンは手元のエナジードリンクを眺めた。


 クラリスからはお揃いのキーホルダー。


 フローラからは新しい執事服。


 そして、リリアからはエナジードリンク。


 確かに役には立つ。


 疲れたときに飲めばいいし、ダンジョンの仕事で忙しいときにも重宝するだろう。


 しかし、プレゼントにエナジードリンクというのはどうなのだろうか。


「お気に召しませんでしたか?」


「いや、そういうわけじゃない。ありがとう、ありがたくもらっておくよ」


「それならよかったですわ」


 リリアは安心したように微笑んだ。


 アレンはエナジードリンクをしまった。


 実用性という点では、今回のプレゼントの中で一番かもしれない。


 ただ、もう少しこう、プレゼントらしいものでもよかったのではないだろうか。


「次は私だよ!」


 アリスが元気よく手を挙げた。


「アリスは何を用意したんだ?」


「ふふん、これだよ!」


 アリスが差し出したのは、箱に入ったチーズケーキだった。


「おお、チーズケーキか! 手作り?」


「もちろん!」


「ありがとう。あとでみんなで食べようか」


「待って!」


 アリスが慌てて止めた。


「これは特別なチーズケーキなんだよ!」


「特別?」


「そう! 品質を捨てて効力を高めた特別な一品だよ!」


「誰が分かるんだ、そのネタ!」


 アレンは即座にツッコミを入れた。


「分かる人には分かるんだよ!」


「いや、分かる人がどれだけいるんだよ!」


「大事なのは品質じゃなくて効力なんだから!」


「食べ物で何を追求してるんだ、お前は!」


 アリスは得意げに胸を張っている。


 どうやら、本人は相当自信があるらしい。


 アレンはチーズケーキの箱を見た。


 見た目は普通においしそうだ。


 少なくとも、品質を捨てたようには見えない。


「……まあ、食べてみるよ」


「うん! 感想を楽しみにしてるね!」


 アレンは少しだけ不安になった。


 いったい、どんな効力があるというのだろうか。


 普通においしいチーズケーキであることを祈るばかりだった。


「最後は私ですわね」


 セレスティアが微笑みながら前に出た。


「セレスティアも用意してくれたのか」


「ええ。私からのプレゼントですわ」


 そう言って、セレスティアは一枚の紙をアレンに差し出した。


「……これは?」


「アリスさんに用意していただいた、私を好きにできる紙ですわ」


「なんだそりゃ」


 アレンは受け取った紙を見た。


 婚姻届の紙だった。


「なんてもんを用意するんだ!」

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