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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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並行世界

アレンとアリスは、セレスティア、クラリス、フローラ、リリアのお茶会で給仕をしていた。


 四人が楽しそうに会話をしていると、セレスティアがふと思い出したように口を開いた。


「昨日、変な夢を見たわ」


「どんな夢なんだ?」


 アレンが紅茶を注ぎながら尋ねる。


「なぜか悪役令嬢に仕立てられて、婚約破棄された挙げ句、辺境に追放されて、あなたと結婚したわ」


「俺!?」


 アレンは思わず声を上げた。


 悪役令嬢に仕立てられるところまではともかく、どうして追放先で自分と結婚することになるのだ。


「しかも、私を陥れたのはアリスさんだったわ」


「記憶にございません」


 アリスは即答した。


「いや、夢の話だろ!」


「そうですよ。夢の中の私がやったことですから、現実の私には関係ありません」


「その理屈はおかしいだろ!」


 アレンがツッコミを入れると、フローラが静かに手を挙げた。


「私は、お姉様の追放先を発展させるのを手伝いました」


「フローラまで!?」


「辺境を発展させるのは、領地経営の勉強にもなりますから」


「夢の中でも真面目だな!」


 セレスティアの夢の話だというのに、フローラまで具体的な行動を起こしている。


 アレンは嫌な予感を覚えながら、残る二人に視線を向けた。


「……みんな、同じ夢を見たのか?」


 クラリスが、少し困ったような顔で頷いた。


「私の国が攻め滅ぼされて、捕まって、オークションで売られたのをアレンさんに買われました」


「また俺!?」


「その後、アレンさんと結婚しました」


「なんで俺がそんな役回りばかりなんだよ!」


 王女を救うのはともかく、オークションで買うという展開はどうなのだ。


 アレンが頭を抱えていると、今度はリリアが口を開いた。


「私もアレンと結婚してたわ」


「リリアまで!?」


「夢の中では、いろいろあった気がするわね」


 リリアは腕を組み、夢の内容を思い返しているようだった。


 セレスティアは辺境に追放され、クラリスは国を滅ぼされ、リリアまでアレンと結婚している。


 共通点があるとすれば、なぜか全員がアレンと結婚していることくらいだ。


「妙にリアルな夢だな……」


 アレンは顎に手を当てた。


「並行世界かもしれないな」


「並行世界ですか?」


 セレスティアが興味深そうに尋ねる。


「俺たちが今いる世界とは別に、異なる歴史をたどった世界が存在するって考え方だ。例えば、何かが少し違っていたら、俺たちの未来も変わっていたかもしれないだろ?」


「つまり、たどり着かなかった未来の可能性……ということですか?」


「そういうこと。あり得たかもしれない世界を夢で見たのかもしれないな」


 アレンの説明に、四人は顔を見合わせた。


 もし本当にそうなら、夢の中で起きた出来事は、どこかの世界で実際に起きている可能性もある。


 セレスティアはしばらく考え込んでいたが、やがて何かを思いついたように微笑んだ。


「それなら、私と結婚して未来を近づけて見る?」


「やめてください! 私の国が滅びます!」


 クラリスが即座に叫んだ。


「なんでクラリスの国が滅びるんだよ!」


「セレスティア様とアレンさんが結婚したら、絶対に何かとんでもないことが起こります!」


「失礼ね。私とアレンが結婚したくらいで、どうしてクラリスの国が滅びるのよ」


「自覚がないんですか!?」


 クラリスは頭を抱えた。


 セレスティアがアレンと結婚する。


 その結果、王国の政治がどう変わるのか。


 アレンのダンジョンがどう発展するのか。


 そして、その影響が周辺諸国にどこまで広がるのか。


 考えたくもなかった。


「まあまあ、クラリス。夢は夢よ」


 セレスティアは優雅に紅茶を口に運んだ。


「現実にするつもりはないわ」


「本当ですか?」


「ええ。今のところはね」


「今のところ!?」


 クラリスの悲鳴が、お茶会の会場に響き渡った。


 アレンは静かに紅茶のポットを置いた。


「……アリス、今日の給仕が終わったら、俺たちの結婚の可能性について調べてくれ」


「嫌ですよ。巻き込まれたくありません」


「お前、夢の中ではセレスティアを陥れたんだろ!」


「夢の中の私は有能だったんですね」


「反省しろ!!」

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