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アレンはアリスと一緒に、映画館で冒険者の生配信を見ていた。
大画面には、ダンジョンを探索する冒険者たちの姿が映し出されている。
冒険者たちは武器を構え、目の前に現れたモンスターと戦っていた。
剣が振るわれ、魔法が飛び交う。
モンスターの攻撃をかわし、仲間と連携して反撃する。
やがて、激しい戦闘の末にモンスターを倒した。
ここまでは普通だ。
冒険者の生配信なのだから、モンスターと戦っている映像が流れるのは当たり前である。
ところが、戦闘が終わった直後だった。
「俺がこんなに強いのは、ゴランの武器屋の剣を使ってるからだ!」
冒険者は自分の剣を掲げ、格好よくポーズを決めた。
画面の向こうで、決め顔の冒険者が剣を見せつけている。
アレンはしばらく画面を見つめていた。
なんだか、見覚えのある光景だった。
戦闘で強さを見せつけた直後に、武器の宣伝。
まるでCMを見ているようだった。
「アリス、なんだあれは?」
「最近、冒険者にスポンサーがついたらしいですよ」
「まじでCMだった」
アレンは納得した。
戦闘が終わったら、まさかの宣伝タイムである。
しかも、ただ武器を紹介するだけではない。
実際にモンスターと戦い、勝利した冒険者が、自分の強さの理由として武器を紹介しているのだ。
これなら、見ている側にも説得力がある。
もちろん、剣だけで勝てたわけではないだろう。
冒険者自身の実力もあるし、仲間との連携もある。
それでも、視聴者にとっては、強い冒険者が使っている武器というだけで興味を引かれる。
「効果あるのかな?」
「トップ階層の人が紹介するから、かなり効果はあるみたいですね」
「なるほどな」
アレンは頷いた。
強い冒険者が実際に使っている武器なら、購入を考える人もいるだろう。
特に、これから上の階層を目指す冒険者にとっては、憧れの冒険者と同じ武器を使えるというのは魅力的だ。
武器屋にとっても、冒険者にスポンサー料を支払う価値は十分にある。
冒険者は活動資金を得られる。
武器屋は商品を宣伝できる。
配信を見る人たちは、戦闘を楽しみながら新商品の情報も得られる。
それぞれにメリットがあるわけだ。
アレンは再びスクリーンを見た。
次の戦闘が始まれば、また普通の冒険者配信に戻るのだろう。
そして戦闘が終われば、今度は別のスポンサーの商品が紹介されるのかもしれない。
(新しい取り組みが、いろいろ生まれるな)
ダンジョンが発展し、人が集まり、配信という仕組みが生まれた。
そこにスポンサーという仕組みまで加わった。
誰かが新しいことを始めれば、それを利用して商売を始める人が出てくる。
そして、うまくいけば、別の人間がさらに新しい方法を考える。
そうやって、ダンジョンを中心にした経済が少しずつ広がっていくのだろう。
ただ、アレンには、どこか見覚えのある流れにも思えた。
(結局、日本にあったサービスに落ち着くんだろうな)
生配信にスポンサーがつく。
人気のある人間が商品を紹介する。
その宣伝効果を利用して、企業が売り上げを伸ばす。
異世界であっても、人間が考えることはそれほど変わらないらしい。
アレンはそんなことを考えながら、アリスと一緒にスクリーンを眺めていた。
冒険者の戦闘を見に来たはずなのに、気がつけば商売の仕組みを観察している。
もはや、映画館での過ごし方までダンジョン経営者らしくなっていた。




