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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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新たな観光名所

アレンのアイデアは、まだ止まらなかった。


 聖剣を台座に突き刺して観光名所にした。


 その近くには願いの泉を作り、さらに真実の口まで作った。


 どれもアレンにとっては、元の世界で見たことのあるものだった。


 そして、観光名所を作るということにすっかり味を占めたアレンは、次の計画を考えていた。


「まだ作れるな」


 観光名所は、一つだけである必要はない。


 いくつもあれば、それだけ人が来る理由も増える。


 そう考えたアレンの頭に、いくつもの建造物が浮かんだ。


「まずはピラミッドだな」


 ダンジョンの機能を使い、巨大な石を積み上げていく。


 一つ一つの石が組み合わさり、巨大な三角形の建造物が完成した。


「うん。これは目立つ」


 遠くからでも分かる大きさだ。


 次にアレンが作ったのは、凱旋門だった。


「これも有名だな」


 巨大な門が完成する。


 さらに、


「自由の女神も作ろう」


 巨大な像が建ち上がった。


 そして最後。


「エッフェル塔」


 高く伸びた鉄の塔が完成する。


 四つの建造物が並ぶ。


 ピラミッド。


 凱旋門。


 自由の女神。


 エッフェル塔。


 元の世界では、どれも観光地として有名な建造物だった。


 アレンは完成した景色を眺めながら、腕を組んだ。


「これは凄いな」


 自分で作ったものを見て、満足そうに頷く。


「抜群の集客が見込める」


 完全な自画自賛だった。


 これだけ有名な建造物を並べれば、人が来ないはずがない。


 アレンはさっそく、訪れた人々の反応を確認することにした。


 まずピラミッド。


 何人かの観光客が近づいていく。


 アレンは少し離れたところから、その様子を眺める。


「おお……」


 観光客がピラミッドを見上げる。


 アレンは期待した。


 だが。


「大きいですね」


「本当に大きいですね」


「石がいっぱい積んであります」


「そうですね」


 しばらく眺めたあと、そのまま別の場所へ歩いていった。


「……」


 アレンは黙って見送った。


 次は凱旋門。


「おお、立派な門ですね」


「何のための門なんでしょう?」


「さあ?」


 そして普通に通り抜けていった。


「……」


 自由の女神も同じだった。


「大きな像ですね」


「誰を表しているんでしょう?」


「分かりません」


 見上げて終わりだった。


 アレンは四つの建造物を順番に見た。


「……おかしいな」


 元の世界では、どれも有名だった。


 それなのに、この世界では大して興味を持たれていない。


 ところが、最後のエッフェル塔だけは違った。


「なんだ、あの塔?」


「上に登れるみたいですよ」


「展望台があるのか?」


「行ってみよう」


 次々と人が集まり、塔を登っていく。


 そして展望台に出ると、そこから見えるダンジョンの街並みに歓声が上がった。


「これは凄いな」


「こんなところから街を見ることができるのか」


「いい景色ですね」


 エッフェル塔そのものよりも、展望台から見える景色が受け入れられたようだった。


 アレンはしばらくその光景を眺めていた。


 そして、ようやく気づく。


「……そういうことか」


 建造物そのものが有名なのではない。


 その建造物には、長い歴史がある。


 何百年、何千年という時間の中で、人々がそこに意味を与えてきた。


 だからこそ、歴史的建造物として価値がある。


 アレンが作ったものには、それがない。


 見た目を同じにしただけだ。


 この世界の人間からすれば、ピラミッドは巨大な石の建物。


 凱旋門は大きな門。


 自由の女神は巨大な像。


 それだけだった。


「……歴史がないと、ただの建物なのか」


 アレンは自画自賛した直後に、自分の考えの甘さを思い知らされた。


 そんなアレンを見ていたアリスが、何かを思い出したように口を開く。


「そういえばアレン様」


「なんだ?」


「私を覗いてないでしょうね?」


 アレンはアリスを見る。


「お前は美人じゃない」


「覗きなさいよ」


「……」


 いつも通りの二人だった。

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