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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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暴走娘アリス

セレスティアは呆れていた。


 アリスの存在に。


 アレンのやることが無茶苦茶なのは、もう分かっている。


 常識では考えられないことを思いつき、それを実際にやってしまう。


 普通なら止めるようなことでも、面白そうだと思えば実行する。


 だからこそ、セレスティアもアレンについては、ある程度諦めていた。


 そもそもアレンは、この世界の人間ではない。


 いきなりこの世界に連れてこられたのだから、こちらの常識を理解できないことがあるのは仕方がない。


 元いた世界と、この世界では何もかもが違う。


 文化も違えば、生活も違う。


 当然、常識だって違う。


 だからアレンが時々とんでもないことをやらかしても、


「異世界から来たのだから仕方ありませんわね」


 と考えることができた。


 もちろん、仕方がないで済ませられないことも多い。


 それでも、理由だけは理解できる。


 問題は――。


 アリスだった。


 アリスには前世の知識がある。


 それだけなら、まだ分かる。


 前世の世界で得た知識を使って、この世界では存在しないものを作る。


 それ自体は転生者として珍しいことではない。


 しかし、アリスはアレンとは違う。


 アリスは、この世界で生を受けた。


 この世界で生まれ、この世界で育った。


 つまり、この世界の常識を知っているはずなのだ。


 それなのに――。


 常識がなさすぎる。


 セレスティアは何度そう思ったか分からない。


 アレンが何か無茶苦茶なことを言い出したとき、普通なら止める側に回ってもおかしくない。


 ところがアリスは止めない。


 むしろ――。


 一緒になって悪ノリする。


 アレンが妙なことを思いつけば、


「それ、面白そうですね」


 と乗ってくる。


 そして、時にはアレンより先に暴走することすらある。


 アレンに影響されたのか。


 それとも、もともとそういう性格なのか。


 セレスティアには判断できなかった。


 ただ、一つだけ分かることがある。


 アリスは、アレンを止める存在ではない。


 むしろ逆だ。


 アレン一人なら、思いついて終わることでも、アリスが加わることで実行される。


 二人が揃うと、誰も止める人間がいなくなる。


 しかも厄介なのは、アリス自身が一人で暴走することもあることだ。


 アレンが何かを始めなくても、アリスが勝手に新しいことを始める。


 セレスティアからすれば、頭を抱えたくなる。


 そして、そんなアリスを見ているうちに、セレスティアはあることを考えるようになった。


 転生者という存在は、やはり危険なのではないか。


 前世の知識を持っている。


 この世界にはない考え方を知っている。


 それだけでも十分に大きな力になる。


 しかし、それ以上に厄介なのは――。


 この世界の常識だけでは考えられない発想を持っていることだ。


 アレンなら、それを理解できる。


 彼はそもそも異世界から来た人間なのだから。


 だが、アリスは違う。


 この世界で育った人間でありながら、前世の知識を持っている。


 その二つが同居している。


 だからこそ、アリスはこの世界の人間でありながら、この世界の常識から外れた行動を平然と取る。


 セレスティアにとって、アリスはそれを分かりやすく示す存在になっていた。


 転生者とは、こういうものなのかもしれない。


 前世の知識を持っているからといって、必ずしも賢くなるわけではない。


 むしろ、前世の知識と今世の常識が混ざることで、とんでもないことを始める可能性すらある。


 アリスの存在は、この世界の人々にとって転生者の危険性を知らせる具体例のように思われていた。


 そしてセレスティアは、改めてアリスを見る。


 アレンが無茶苦茶なのは、もう知っている。


 だが――。


 アリス、お前も大概だ。


 セレスティアは、そんなことを思いながらため息をついた。

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