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二回目の当選発表

宝くじ箱の当選発表日。


 アレンはマスタールームから、今回の応募口数を確認していた。


「8642口か」


 前回までと比べてもかなり多い。


「かなり景品を期待されてるな」


 10階層には、当選発表を見ようとかなりの人数が集まっていた。


 冒険者だけではない。


 こちらの騎士団と隣の騎士団も集まっており、発表前から互いに情報交換をしている。


「そっちは何口応募した?」


「うちはこれくらいだ。そっちは?」


「前回より増やしたぞ」


 そんな会話があちこちで交わされている。


 そして、いよいよ当選番号の発表が始まった。


「まずは四等!」


 発表された番号は――下一桁、7。


「7か!」


「俺、当たったぞ!」


 あちこちから声が上がる。


 四等の景品はワインだった。


「また酒かよ!」


「でも当たった!」


「俺は三等以上を狙ってたんだけどな……」


 景品が当たって喜ぶ者。


 逆に、四等には当たったものの、三等以上を逃したことで悔しがる者。


 反応は二つに分かれた。


 そんな中、一人の冒険者がワインを見ながら呟く。


「……でも、酒の種類が毎回変わるなら、十口だけは応募しておくか」


「それだな」


「十口なら気軽に入れられるしな」


「次は違う酒かもしれないぞ」


 その話を聞いた冒険者達の中には、毎回十口だけ応募することを決める者も増えていった。


 続いて三等。


「三等の当選番号は――下二桁、16!」


「16!」


「当たった!」


 今度は大きな歓声が上がった。


 そして景品が発表される。


「魔法瓶とテントだ!」


「魔法瓶か!」


「テントもあるぞ!」


 14階層のガチャの目玉として用意された景品だった。


「これは欲しかった!」


「テントなら野営でも使えるな!」


 騎士団員達も景品を確認している。


「魔法瓶とテントですか」


「野営訓練でも使えますね」


「実際の任務でも使えそうだ」


 冒険者だけではなく、騎士団にも好評だった。


 しかし、騎士団が本当に狙っているのは三等ではない。


「二等!」


 場の空気が変わる。


 発表された番号は――下三桁、861。


「861……!」


「俺だ!」


 一人の冒険者が叫ぶ。


 周囲から歓声が上がった。


「景品は――アクアマリン!」


「アクアマリンだと!」


「これは売れるぞ!」


 当選した冒険者は大喜びだ。


 その様子を見た隣の騎士団が、すぐに動き出す。


「隊長」


「分かっている」


 隊長は当選者のもとへ向かった。


「そのアクアマリン、買い取らせてもらえないか?」


「えっ?」


「相場に合わせて、きちんと払う」


 隣の騎士団は迷いなく買い取り交渉に入った。


「抜け目ないな……」


 周囲の冒険者達も、その動きの早さに驚いていた。


 そして、いよいよ最後。


「それでは、一等!」


 10階層に集まった全員が静かになる。


「一等の当選番号は――4649!」


「4649……」


「誰だ?」


 一瞬の沈黙。


 そして。


「俺達だ!」


 隣の騎士団から歓声が上がった。


「また隣の騎士団か!」


「隊長、やりましたね!」


「一等ですよ!」


 隊員達が隊長を取り囲んで喜んでいる。


 そして、景品が発表された。


「一等の景品は――冷蔵庫!」


「冷蔵庫?」


 冒険者達がざわめく。


 騎士団員達も一瞬、顔を見合わせる。


 しかし、一人の隊員がすぐに気づいた。


「これ、領主様の屋敷に置けるんじゃないですか?」


「……!」


 隊長の表情が変わった。


「領主様が喜ぶぞ」


「ですよね!」


「これはいい土産になる」


 騎士団が冷蔵庫を使うわけではない。


 領主の屋敷に設置すれば、領主に喜んでもらえる。


 それが分かった瞬間、一等の価値が騎士団の中で一気に跳ね上がった。


「隊長、今回の一等はかなり大きいですね」


「ああ。持って帰ったら、すぐに領主様へ報告しよう」


 隣の騎士団は、一等の冷蔵庫を手に入れたことを大いに喜んだ。


 しばらくして、隣の騎士団の隊長がこちらの騎士団へ声をかける。


「そっちはどうだった?」


 こちらの騎士団の隊長は、少し苦い顔をした。


「二等を、なんとか一つ確保できた」


「そうか」


「そっちは?」


 今度はこちらの隊長が尋ねる。


 隣の騎士団の隊長は、何でもないことのように答えた。


「二等は四つ当選した」


「四つ……?」


「それに、さっきの当選者から二つ買い取った」


「…………」


「合計で六つだな」


 こちらの騎士団の隊長と隊員達は、言葉を失った。


「……六つ?」


「ああ」


 こちらの騎士団が、なんとか一つ確保した二等。


 その一方で、隣の騎士団は二等だけで六つ。


 さらに一等の冷蔵庫まで手に入れている。


「……また差がついたな」


 誰かが小さく呟いた。


 隣の騎士団の隊長は、満足そうに笑った。


「次も頑張らないとな」


 こちらの騎士団は、ただ唖然としてその姿を見ていた。

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