14階層の追加
アレンはマスタールームからダンジョンの様子を眺めていた。
「11階層はこっちの騎士団、12階層は冒険者、13階層は隣の騎士団か」
それぞれが自分達に合った階層を見つけたことで、以前よりもダンジョン内の動きが分かりやすくなっている。
11階層では、こちらの騎士団がまとまって活動している。
13階層には隣の騎士団。
そして、その間にある12階層では冒険者達が活動していた。
だが、最近は12階層の様子が少し変わってきている。
「……12階層、混雑してきたな」
アレンが目を向けると、以前よりも明らかに冒険者の数が増えていた。
中級冒険者が増えたことで、12階層に集まる人数そのものが増えているのだ。
パーティー同士が距離を取ろうとしても、どうしても近くなってしまう。
「中級冒険者が増えたからか」
人が増えること自体は悪くない。
むしろアレンにとっては歓迎すべきことだった。
冒険者が増えれば、それだけダンジョンに長く滞在してくれる。
ただ、このまま増え続ければ12階層が手狭になる。
「だったら、もう一つ作るか」
アレンは少し考えた。
12階層を広げる方法もある。
しかし、それよりも新しい階層を作って、冒険者達の居場所を分けたほうがいい。
「14階層を作ろう」
こうして、14階層が新たに作られることになった。
狙いは明確だった。
12階層は中級冒険者。
14階層は上級冒険者。
実力に応じて自然と分かれてくれればいい。
そして、実際に14階層が開放されると、アレンの狙い通りになった。
上級冒険者達が14階層へ向かい始めたのだ。
「ここが新しい階層か」
「12階層より歯応えがありそうだな」
「これなら少しは動きやすくなるか」
上級冒険者達は周囲を確認しながら進んでいく。
12階層では中級冒険者が増えていたため、上級冒険者にとっては少し物足りない場面も増えていた。
14階層なら、より自分達に合った場所で活動できる。
「悪くないな」
ある冒険者がそう言いながら、階層に設置されたガチャへ目を向けた。
「14階層にもガチャがあるぞ」
「景品は何だ?」
「……魔法瓶?」
表示された景品を見て、冒険者達が少し首を傾げる。
「魔法瓶って何だ?」
「さあ……聞いたことないな」
しかし、説明を読んでいくうちに表情が変わっていく。
「中に入れた飲み物の温度を長く保てるのか」
「それ、ダンジョンでは結構便利じゃないか?」
「休憩のときに温かい飲み物が飲めるってことだろ」
上級冒険者達は互いに顔を見合わせる。
普段から長時間ダンジョンに潜っている彼らにとって、飲み物を好きな温度で持ち運べるというのは意外と便利だった。
「もう一つは……テント?」
「テントなら普通に分かるな」
「でも、ダンジョン内で使えるなら便利だぞ」
さらに説明を確認する。
簡単に設置でき、休憩や野営に使える。
「これ、結構欲しいな」
「俺もだ」
「魔法瓶も悪くない。両方取れたら便利そうだ」
最初は見慣れない名前に戸惑っていた上級冒険者達だったが、使い道が分かると反応は一気に変わった。
「14階層、悪くないな」
「戦える場所も増えたし、ガチャの景品も面白い」
その様子をマスタールームから見ていたアレンは、満足そうに頷いた。
「ちゃんと使えそうな物なら欲しがるんだな」
12階層の混雑を解消するために作った14階層。
そこには狙い通り、上級冒険者達が集まり始めていた。
そして、新しく用意したガチャの景品も、思った以上に好感触だった。
「これなら14階層も定着しそうだな」
アレンはそう呟きながら、次のダンジョンの様子を眺め始めた。




