作戦会議
ダンジョンの入口で別れた二つの騎士団は、それぞれ今回の活動について打ち合わせを始めた。
先にダンジョンへ通っていた騎士団では、隊長の周囲に隊員たちが集まっていた。
「隊長、作戦はありますか?」
「今回は11階層で戦えるやつしか連れてきてない」
「11階層を中心に活動するんですね」
「ああ。前回までとは違って、今回は11階層で戦える戦力を揃えてきた。まずはそこで成果を出す」
「分かりました」
「それと、宝くじ箱についてだ」
「はい」
「化粧品を必要数集めたら、宝くじ箱に投入だな」
「今回も同じ方針ですか?」
「ああ。自分たちで使う分を確保するのが先だ。それが終わったら、残りは宝くじ箱に回す」
「前回と同じですね」
「ただし、今回は11階層まで活動できる」
「集められる量も増えそうですね」
「そういうことだ」
隊長は隊員たちを見回した。
「11階層でどこまでやれるか、まずは試してみるぞ」
「はい!」
一方、もう一つの騎士団では、隊長が文官を呼んでいた。
「文官、今回も同じ作戦でいいか?」
「今回は化粧品も前回確保できていますので、全部宝くじ箱に投入で問題ありません」
「前回、全部入れたわけじゃないけど、どのくらい集まってた?」
「全部入れた場合は3500口前後ですね」
「3500口か」
「今回は連れてきた冒険者の分も含めて、4000口はいきたいですね」
「4000か……」
隊長は少し考える。
「後は応募がどうなるかですね」
「そうですね」
文官は続けた。
「まとめて入れれば連番で番号札を受け取れますから、三等と四等は確定です」
「だが、二等に当選しないと上級冒険者にはおいしくない」
「その通りです」
「そうなると、上級冒険者がこぞって応募することにはならないか」
「多分、そうはならないと思います」
「やはり二等が重要か」
「はい。上級冒険者にとって、三等や四等だけではわざわざ大量に応募する理由にはなりにくいでしょう」
「なるほどな」
「ただ、多分景品を変えてきますよ」
「景品を?」
「はい。今回の応募状況を見れば、次はもっと応募したくなる景品を用意してくる可能性があります」
「そうか」
隊長は楽しそうに笑った。
「何が当たるか楽しみだ」
「私も楽しみです」
その頃、アレンはマスタールームで次の宝くじ箱の景品を考えていた。
「何にするかな……」
応募口数を増やすには、景品に魅力が必要だ。
しかし、高価な物を用意してしまえば、アレンの負担も大きくなる。
「安くてインパクトがあれば最高だ」
アレンはマスタールームを見回した。
日本には、この世界には存在しない便利な物がいくらでもある。
その中から、誰が見ても価値が分かるもの。
しかも、できるだけ安く用意できるもの。
「……家電がいいか」
アレンは日本の家電を眺める。
だが、この世界には電気がない。
「そのままじゃ使えないんだよな」
そこでアレンは考えた。
「魔石を動力源にすればいい」
魔石で動くように改造できれば、この世界でも家電を使える。
「そうだな……」
アレンの視線が冷蔵庫で止まった。
「冷蔵庫にするか」
食料を冷やして保存できる。
冒険者にも便利だし、商人や貴族にも欲しがられそうだ。
「しかも冷蔵庫なんて、この世界の人間は見たことないだろうしな」
インパクトも十分。
「よし」
アレンは一等の景品を決めた。
「魔石を動力源にした冷蔵庫だ」
次の宝くじ箱の一等は、魔石で動く冷蔵庫。
アレンにとっては、日本の家電を少し改造しただけのものだった。
だが、この世界では、それだけでも十分すぎるほど珍しい景品になる。
「これなら応募も増えるだろ」
アレンは満足そうに頷いた。




