こちらの騎士団ピンチ
アレンはマスタールームからダンジョンの入口を眺めていた。
「アレン、また騎士団が入口で鉢合わせしてるよ」
「またか。様子を見よう」
入口では、以前からダンジョンに通っている騎士団と、別の騎士団が顔を合わせていた。
「また会ったな」
「おう。また来たのか?」
「ああ。今回は物資を持ち込んできた。本格的に活動するつもりだ」
「お前たちも物資を持ち込んで、本格的に活動する気になったのか?」
「もっと頑張れと言われてるんだよ」
「もっと頑張れって……こっちは町の治安維持や街道警備やら、やることいっぱいあるのに、無茶言うぜ」
「ところで、そっちは問題ないのか?」
「何がだ?」
「町の治安維持や街道警備だよ。そっちも騎士団の仕事なんだろ?」
「町の治安維持や街道警備なんて憲兵の仕事で、騎士団の仕事じゃねえよ」
「え?」
「うちは全部騎士団の仕事だよ」
「全部?」
「町の治安維持も街道警備も、魔獣の討伐もな」
「じゃあ普段何してるんだよ」
「訓練に決まってるだろ」
「訓練?」
「憲兵の手に負えない大型魔獣なんかが出たら出番だ。だから普段から鍛えてるんだよ」
「なるほど。道理で力を入れられるわけだ」
「ああ。こっちはダンジョンで訓練する時間を作りやすいからな」
「そういや、お前たち、宝くじ箱で一等と二等を独占したらしいな」
「ああ、そうだ」
「お前たちはしなかったのか?」
「応募したのは一口だけだよ。当然外れた」
「一口だけ?」
「化粧品を集めないと怒られるんだよ」
「なるほどな」
「そっちはどうなんだ?」
「化粧品が集まらなくても、同等以上の価値があるものを手に入れたら問題ないさ」
「そんなに柔軟でいいのか?」
「自分たちで使う分は十分あるんだからな。必要な成果が出ているなら、景品の種類にこだわる必要はない」
「柔軟さがあっていいな」
「そっちは大変そうだな」
「大変だよ。上から求められてるものがはっきりしてるからな」
そこで、別の騎士が相手の後ろにいる集団へ目を向けた。
「ところで……」
「ん?」
「騎士団っぽくないのがいないか?」
騎士たちの後ろには、冒険者らしき者たちが何人も並んでいた。
「ああ、あいつらか」
「まさか……」
「追加で冒険者を雇ってきた」
「まじか」
「そこまでやるか?」
「人手が増えれば、それだけダンジョンで活動できるからな」
「いや、待て。お前たち、ただでさえ俺たちより活動時間が長いだろ」
「そうか?」
「そうだよ! こっちは町の仕事があるんだぞ!」
「なら、こっちのほうがダンジョンで訓練する時間を取れるってことだな」
「そうなるだろ!」
「しかも冒険者まで雇ったんだぞ」
「……」
「さらに差がつくな」
「やめろ」
「何がだ?」
「その話をするな」
「なんでだよ?」
「また怒られるのが確定するだろ!」
「成果を出せばいいんじゃないか?」
「その成果を出す時間がないんだよ!」
「じゃあどうするんだ?」
「どうするも何も……」
騎士は、追加で雇われた冒険者たちを見た。
「無理だ。また怒られるのは確定だな」
「……頑張れ」
「お前に言われたくねえよ!」




