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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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セレスティアの運営

アリスのダンジョンについて話しているうちに、アレンはふと別のことが気になった。


「そういえばセレスティアのダンジョンはどうなってんだ」


「別に変わらないわよ」


 セレスティアは何でもないことのように答えた。


「Bランクダンジョンにしてから手を加えてないから」


「そうなのか?」


「ええ」


 セレスティアのダンジョンは、Bランクまで成長している。


 それだけでも子ダンジョンとしては十分に大きな成果だった。


 しかし、それ以降は大規模な成長をさせていないらしい。


 アレンは少し考える。


 最近のアリスのダンジョンは、チーズケーキやシュークリーム、アイスクリームにプリン。


 さらには鶏まで飼い始めている。


 ダンジョンを運営しているというより、何か別の施設を作っているような状態だ。


「アリスみたいにスイーツダンジョンになったりしてないか」


「ならないわよ」


 セレスティアが即答する。


「私のダンジョンを何だと思ってるのよ」


「いや、アリスを見てたら、セレスティアも何か変な方向に行ってるんじゃないかと思ってな」


「失礼ね」


 セレスティアは少し呆れたように言う。


「私はちゃんと目的があって使っているわ」


「目的?」


「騎士団の訓練施設とか作ったから、軍人と冒険者が半々になってるわ」


「軍人と冒険者が半々か」


 アレンは少し意外そうな顔をした。


 セレスティアのダンジョンでは、冒険者が魔物と戦うだけではない。


 騎士団も訓練のために利用している。


 実戦に近い環境で訓練できるうえ、ダンジョン内なら魔物との戦闘も経験できる。


 そのため、騎士団にとってはかなり使い勝手がいい。


 結果として、冒険者と軍人が同じくらい利用するダンジョンになっていた。


「それなら、結構ポイントも入ってるんじゃないか?」


「そうね」


「余ったポイントはどうしてるんだ?」


 アレンは気になって尋ねた。


 ダンジョンの維持や成長に使うだけなら、Bランクまで成長させた後は、それなりに余裕も出てくる。


 セレスティアは少し考えるような素振りを見せてから答えた。


「騎士団の訓練施設に温泉作ったり、蛇口を捻ればポーションが出るとか役にたってるわ」


「……」


 アレンは黙った。


 温泉。


 訓練施設に温泉を作る。


 さらに蛇口を捻ればポーションが出る。


 騎士団が訓練して、疲れたら温泉に入り、怪我をしたらポーションを使う。


 確かに便利ではある。


 余ったポイントを無駄にしているわけでもない。


「結構、快適になってるな」


「訓練する場所なんだから、使いやすいほうがいいでしょう?」


「まあ、それはそうだな」


 アレンも否定できない。


 ただ、改めて考えるとおかしい。


 ダンジョンである。


 魔物がいて、冒険者が攻略する場所である。


 その一角に騎士団の訓練施設があり、温泉があり、蛇口を捻ればポーションが出てくる。


 もはや普通のダンジョンとは言い難い。


「アリスもセレスティアもおかしな方向に持っていってるな」


 アレンが呟く。


 アリスはダンジョンをスイーツと鶏の供給場所にした。


 セレスティアはダンジョンを騎士団の訓練施設として活用している。


 二人とも、最初に想定されていた「魔物を倒して攻略する場所」から、かなり違う方向へ進んでいる。


 アレンとしては、少しくらい普通にダンジョンを使ってほしいと思っただけだった。


 しかし――。


「あなただけには言われたくないわね」


「……」


 セレスティアの返事に、アレンは黙った。


 確かにそうだった。


 そもそもダンジョンの中に町を作り、世界中のダンジョンを繋ぎ、交通機関まで整備している。


 ダンジョンランドまで作っている。


 さらには映画館や温泉、商業施設まで存在する。


「……まあ、そうだな」


 アレンは素直に認めた。


「あなたが一番おかしな方向に持っていってるものね」


「俺は便利にしてるだけだ」


「それをおかしな方向って言うのよ」


 セレスティアは呆れながら笑った。


 アリスのスイーツダンジョン。


 セレスティアの訓練ダンジョン。


 そしてアレンの、もはや何と呼べばいいのか分からないダンジョン。


 三人とも、それぞれ違う方向へダンジョンを進化させていた。

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