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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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歓迎会

リリアの屋敷に到着すると、すでに大勢の人間が集まっていた。


「お待ちしておりました、リリア様!」


屋敷の使用人だけではない。


領地の主要な者たちも揃い、二人の到着を出迎えている。


「これは……」


リリアが驚いた顔をする。


「どうしてこんなに?」


「先触れを出しましたから」


セレスティアが何でもないことのように答える。


「セレスティア様もいらっしゃると伝えておりますので、歓迎の準備をしてくださったのでしょう」


「そういうことですか……」


リリアは集まった人々へ向き直った。


「皆さん、出迎えありがとうございます」


「こちらこそ、お越しいただきありがとうございます!」


二人は屋敷の中へ案内された。


その夜。


屋敷では、二人を歓迎するためのパーティーが開かれた。


会場には領地自慢の料理が並び、次々と料理が運ばれてくる。


「こちらは今年採れたものを使った料理です」


「こちらもぜひお召し上がりください」


リリアは領地の者たちから料理を勧められ、少し照れながらも口に運んでいく。


セレスティアも料理を楽しみながら、領地の主要な者たちと会話を交わしていた。


「今年の収穫はいかがですの?」


「おかげさまで順調です」


「それは何よりですわ」


リリアも領地の状況について報告を受ける。


街道の整備。


農作物の収穫。


商人の往来。


領民の暮らし。


普段なら別々に聞く話も、こうして一度に集まると領地全体の様子がよく分かる。


やがて料理が片付けられ、パーティーも終わりに近づいていった。


「本日はありがとうございました」


リリアが集まった者たちへ頭を下げる。


「こちらこそ、ありがとうございました」


最後まで残っていた者たちも屋敷を後にしていく。


賑やかだった会場が静かになる。


「終わりましたね」


リリアが小さく息を吐く。


「ええ」


セレスティアが頷いた。


「少し外の空気でも吸いませんこと?」


「そうですね」


二人は会場を出る。


廊下を歩き、屋敷の奥へ進む。


やがて、外へ繋がる扉の前で足を止めた。


セレスティアが扉を開く。


二人はテラスへ出た。


夜風が静かに吹き抜ける。


眼下には、夜の明かりに照らされたリリアの領地が広がっていた。


しばらく二人で街を眺める。


そして、セレスティアが口を開いた。


「リリア、今日の帰省で、あなたの領地の重要度が高まっていることが分かったかしら?」


「私の領地の重要度……ですか?」


「ええ」


リリアは首を傾げる。


「東端にある私の領地が、ですか?」


「そうですわ」


セレスティアは夜の街を眺めながら続ける。


「私の領地からは、ダンジョンを使っても王都までの時間は変わりませんわ」


「王都は中央にありますからね」


「ええ。そして、ダンジョンの移動は一箇所じゃありませんわ」


リリアはセレスティアを見る。


「今回のような移動だけではない、ということですか?」


「そうですわ」


セレスティアは頷いた。


「リリアの領地からアレンのダンジョンを経由して、私の運営しているダンジョンまで五時間」


「五時間……」


「そして、リリアの領地からアレンのダンジョンを経由して、クラリスの運営しているダンジョンまでは六時間ですわ」


リリアは黙って考える。


どちらも、リリアの領地から直接別の子ダンジョンへ繋がっているわけではない。


リリアの領地からアレンのダンジョンへ入り、そこを経由して、それぞれの子ダンジョンへ向かう。


それでも、これまでとは比較にならないほど短い時間で移動できる。


「どこにも一日で移動できる未来は、そう遠くありませんわ」


「……一日で」


「ええ」


セレスティアは頷いた。


「そうなれば、領地同士の距離そのものの意味が変わってきますわ」


リリアは眼下の街を眺めた。


自分の領地は王国の東端にある。


これまでは、その位置が大きな意味を持っていた。


王都から遠い。


他の領地からも遠い。


だからこそ、何かあればまず王都へ兵を集め、そこから軍を動かす。


それが当たり前だった。


しかし、移動手段が変われば話は違う。


「あなたの領地は、軍として最強よ」


「私の領地が……ですか?」


「ええ」


セレスティアは即答した。


「王都に行かず、現地に向かう可能性も高くなりますわ」


「王都に集まらずに?」


「そうですわ」


「必要な場所へ、直接兵を送る……」


「その可能性が、これからどんどん高くなりますわ」


リリアは黙って聞いていた。


「王都は中央にありますから、これまでは軍を集める場所として非常に都合がよかった」


「はい」


「ですが、移動にかかる時間が短くなれば、王都に過剰に兵を置いておくのは無駄になりますわ」


「……なるほど」


「必要な場所へ直接向かえるなら、王都に集めてから出発する必要はありませんもの」


リリアは自分の領地を見渡した。


東端。


今までは遠い場所だった。


それが、アレンのダンジョンを経由することで、国の各地へ兵を動かすための重要な拠点になっていく。


「あなたには、今より強い権限を与えます」


「私に?」


「ええ」


セレスティアはリリアを見る。


「あなたの領地は、今より高い価値になると思いなさい」


リリアは少し考えたあと、微笑んだ。


「今より活躍の機会が増えるのですね」


「そういうことですわ」


セレスティアも微笑む。


「それと、二割の兵力増強の受け入れ準備をしておきなさい」


「二割の兵力を?」


「ええ」


リリアは驚いた。


「それほど増やすのですか?」


「必要になりますわ」


リリアは少し考えた。


そして、ふと気づく。


「それでは……私の領軍が王都を上回るのでは?」


セレスティアはリリアを見る。


そして、あっさりと言った。


「今更ね」


「え?」


「今でも勝てないわ」


「……」


リリアは言葉を失った。


セレスティアは何事もなかったかのように、再び夜の街へ視線を戻す。


東端にあるリリアの領地。


これまでは、王都から遠いことが弱点だった。


だが、ダンジョンによって距離の意味が変わり始めている。


そして、その変化はまだ始まったばかりだった。

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