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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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ステラの学園の感想

ステラは、王都ではなくダンジョンの町に用意されたホテルから、分校へ通うことになった。


帝国の皇女が留学する。


それだけでも異例のことだった。


しかも、普通なら王都の学園に通うはずだ。


王国の教育制度を学ぶのであれば、王族や高位貴族が通う王都の学園こそ相応しい。


ステラは初日の朝、ホテルを出る前にセレスティアから渡された案内を確認していた。


「分校……」


どうして王都ではないのか。


その疑問は、まだ消えていなかった。


そして分校へ到着すると、ステラはさらに首を傾げた。


「王都の学園には通わせてもらえませんでしたか?」


同行している者に尋ねる。


「セレスティア様から、こちらの分校で学んでいただくようにとのことです」


「そう……」


ステラは窓の外へ視線を向けた。


町は活気に満ちている。


商人が行き交い、冒険者の姿も多い。


店も多く、人の流れも途切れない。


そして、この町には王妃と次期王妃であるセレスティアが滞在している。


「王妃と次期王妃が滞在している町……」


ステラは小さく呟いた。


「それなら、ここが普通の町ではないことくらい、私にも分かります」


王国側が自分を王都へ入れなかった。


それには理由があるのだろう。


ならば、こちらはこちらで、この場所から得られる情報を探すしかない。


そう考えて、ステラは分校へ向かった。


教室に入ったステラは、すぐに違和感を覚えた。


「……平民が多い」


貴族の子供もいる。


だが、圧倒的に多いのは平民だった。


ステラは教室を見回す。


帝国の学園とは、あまりにも違う。


帝国では、貴族が通う学園と平民が学ぶ場所には明確な違いがある。


皇女であるステラが、平民と同じ教室で学ぶことなどまずない。


しかし、ここでは違う。


平民たちは特別扱いされることもなく、当然のように席について授業を受けている。


「……」


ステラは授業を受けながら、教室の様子を観察していた。


学問のレベルそのものは、帝国の上級貴族が通う学園と比べれば高くない。


高度な数学や政治学。


帝国の歴史や軍事学。


そういった専門的な教育を考えれば、物足りない部分もある。


だが、それは問題ではなかった。


「平民がこれほどの数、学園に通っている……」


そこに意味がある。


今の学力が高いか低いかではない。


教育を受ける機会そのものが、これだけ広がっている。


それが続けばどうなるのか。


ステラは考えた。


教育を受けた平民が増える。


文字を読める者が増える。


計算ができる者が増える。


商売を覚える者も出てくる。


さらに優秀な者なら、研究や行政に関わることもできるようになる。


「これから王国は……平民が力をつけることが予想される」


ステラは教室の生徒たちを見つめた。


今はまだ、貴族と平民の差は大きい。


だが、その差が永遠に続くとは限らない。


十年。


二十年。


さらにその先。


教育を受けた平民が世代を重ねれば、王国の社会そのものが変わっていく可能性がある。


「これは帝国にとっても重要な情報ね」


ステラはそう判断した。


ダンジョンのことだけではない。


王国の経済。


商人の動き。


教育制度。


貴族と平民の関係。


そして、王妃と次期王妃がこの町に滞在している理由。


「王国の情報を、なるべく多く持ち帰らないと」


留学という名目で来た。


しかし、皇女としては帝国のために情報を集める必要がある。


ステラはそう決意した。


その頃。


ステラが熱心に王国を観察していることを、アレンも知っていた。


「へえ……あれが帝国の皇女か」


マスタールームのモニターに映ったステラを見ながら、アレンが呟く。


「まだ、ここがダンジョンの中だって知らされていないと聞いている」


アレンはモニターを見ながら笑った。


ステラは今、この町を王国の一都市だと思っている。


王国の経済を調べ、教育を調べ、人々の暮らしを観察している。


きっと帝国へ帰れば、得た情報を報告するのだろう。


だが――。


その調査対象そのものが、普通の町ではない。


それをステラはまだ知らない。


「王国の情報を集めているつもりで、ダンジョンの中を調べてるんだよな」


アレンは楽しそうにモニターを眺める。


「しかも、あの町を王国がどうやって運営しているのか、一生懸命考えてるわけか」


知らないということは、ここまで面白いものなのか。


アレンは思わず笑った。


「楽しくなってきたな」

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