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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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ステラの登場

王国は、帝国から留学生の受け入れを打診されていた。


帝国と王国は、長年にわたって互いを警戒しているライバル国だ。


そんな帝国が、王国の景気が良くなっている今の時期に留学生を送りたいと言ってきた。


「明らかにスパイでしょう」


王宮内では、そんな声が上がっていた。


王国の経済が上向いている。


ダンジョンを中心に商人の往来も増え、王国には以前にはなかった情報や技術が集まり始めている。


そんな時期に、帝国が留学生を送り込んでくる。


何かを探ろうとしていると考えるのが自然だった。


しかし、受け入れを断るのも難しい。


帝国からの申し出を露骨に拒否すれば、両国の関係が悪化する可能性がある。


受け入れるべきか。


断るべきか。


王国にとって難しい判断だった。


その相談が、セレスティアの元へ寄せられた。


「受け入れましょう」


セレスティアは迷うことなく答えた。


「よろしいのですか? 帝国の狙いは明らかに情報収集かと」


「でしょうね」


「では、なぜ?」


「拒否する必要はありませんもの」


セレスティアは微笑んだ。


「ただし、受け入れる場所はこちらで決めます」


「場所?」


「ダンジョンの分校で」


帝国の留学生を拒否することはしない。


しかし、王宮や王国の中枢を自由に見せる必要もない。


帝国が情報を欲しがっているのなら、こちらが見せてもいい情報だけを見せればいい。


「ダンジョンと王国の関係について学んでもらえばいいでしょう」


セレスティアはそう言った。


そして数日後。


帝国から、一人の留学生がやってきた。


「帝国の皇女、ステラです。よろしくお願いします」


皇女自らの留学だった。


セレスティアはステラを出迎える。


「よく来たわね」


皇女に対する挨拶としては、あまりにも普通だった。


ステラは少し意外そうな顔をする。


「私が帝国の皇女だということは、ご存じですよね?」


「もちろんですわ」


「それなのに、ずいぶんと普通に接するのですね」


「ここでは留学生ですもの」


セレスティアは何の迷いもなく答えた。


「あなたには、ダンジョンと国の関係について学んでもらうわ」


「ダンジョンと国の関係……ですか?」


「ええ」


セレスティアはステラを見る。


「そして、あなたが持っている常識を疑いなさい」


「常識を?」


「帝国で当たり前のことが、王国でも当たり前とは限らないでしょう?」


ステラは黙ってセレスティアを見つめた。


皇女である自分に対して、へりくだらない。


必要以上に気を遣うこともない。


まるで、一人の留学生を相手にしているようだった。


「……あなたは、皇女である私に対して、へりくだらないのですね」


「必要ありませんもの」


セレスティアは平然としている。


ステラはしばらく考え込んだ。


そして、ふと口にした。


「……王国は、後継者も心配ないのですね」


セレスティアが少しだけ目を細める。


「どういう意味かしら?」


「皇女である私に対して、これほど自然に接することができる」


ステラはセレスティアを見る。


「王国には、次の時代を担う人間がいる。だからこそ、私一人に過剰な配慮をする必要がないのでしょう」


セレスティアは答えなかった。


ただ、静かに微笑んだ。


帝国の皇女。


その留学は、単なる学生同士の交流では終わらない。


ステラもまた、王国を学ぶつもりで来ている。


そして王国側も、帝国の皇女が何を見て、何を持ち帰るのかを見ている。


互いに相手を探りながら始まる、奇妙な留学生活だった。

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