リリアの町デート報告
セレスティア、フローラ、リリア、クラリスの四人でお茶会をしていた。
四人でテーブルを囲み、紅茶と菓子を楽しんでいると、リリアが先日の町での出来事を思い出したように口を開いた。
「お姉さまのおかげで、アレンさんと楽しい時間を過ごせました」
リリアは素直に礼を述べる。
「お礼はいいわよ」
セレスティアはいつものように優雅に紅茶を飲みながら答えた。
その会話を聞いていたクラリスが、興味深そうに尋ねる。
「アレンさんとデートしたのですか?」
「ええ、まあ……そういうことになるのかしら」
リリアが少し考えて答える。
「私もまたしたいわ」
クラリスはすぐに食いついた。
「楽しかったのでしょう?」
「とても楽しかったわ」
リリアが答えると、クラリスは嬉しそうに笑った。
「私は結構です」
フローラだけは即座に断った。
「どうして?」
クラリスが不思議そうにフローラを見る。
「私は酷い目にあったわ」
フローラは先日のことを思い出し、疲れたように紅茶を口にする。
そんなフローラとは対照的に、リリアはセレスティアを評価していた。
「お姉さまの台本は間違いがないわ。本当に楽しく過ごせました」
「でしょう?」
セレスティアは嬉しそうに微笑む。
「私も自分で体験したけど、良くできてると思ったわ」
セレスティア自身も、あの町での時間を思い返していた。
何をするのか。
どこへ行くのか。
どういう言葉をかけるのか。
すべて台本に書かれていた。
その通りに進めれば、相手も自然と楽しめる。
少なくともリリアは満足している。
だが、フローラだけは納得していない。
「……本当にあれが楽しいと思っているの?」
「楽しいわよ」
セレスティアは迷いなく答える。
「アレンさんは喜んでくれているんでしょうか?」
クラリスが少し心配そうに尋ねた。
デートを楽しんだのはリリアだ。
しかし、相手だったアレンがどう感じていたのかまでは分からない。
「大丈夫よ」
セレスティアは自信満々だった。
「ダンジョンランドのプール貸し切り企画をやるから、機嫌はいいはずよ」
「プール楽しみです」
クラリスの目が輝く。
ダンジョンランドの施設を貸し切って遊ぶ。
それだけでも十分楽しそうだ。
「今度はみんなで行きましょうね」
セレスティアがそう言うと、クラリスは嬉しそうに頷いた。
「はい!」
その隣で、フローラだけが嫌な予感を覚えていた。
セレスティアが企画する。
それだけならいい。
問題は、その企画にセレスティアの台本が存在することだった。
「……お姉さま」
「なに?」
「まさか、今回も台本があるんですか?」
「もちろんよ」
あまりにも当然のように答えられ、フローラは頭を抱えた。
そして、もう一つの問題に気づく。
「……水着は?」
「私が選ぶわ」
セレスティアが答える。
フローラの顔から笑顔が消えた。
「お姉さまが水着を選ぶなんて不安でしかないわ」
「どうして?」
セレスティアには本当に分からないらしい。
「前回だって、ちゃんと成功したでしょう?」
「私はそう思わないわ」
フローラは即答した。
一方、リリアとクラリスはプールの話ですっかり盛り上がっている。
「どんなプールなのでしょう?」
「大きいわよ。ダンジョンランドにはいろいろな施設があるから」
「楽しみです!」
そんな二人を見ながら、フローラは静かに思った。
――どうして私まで参加することになっているのかしら。
そしてセレスティアは、次の計画をすでに頭の中で組み立て始めていた。
今度の舞台は、ダンジョンランドのプール。
もちろん、台本付きである。




