↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
260/430

神にも等しい

アレンは、たまと白に餌をやるのが日課になっていた。


最初の頃は、召喚したばかりのたまが白虎だったこともあり、少しくらい警戒していた。


だが、それも最初だけだった。


今では完全に慣れている。


「ほら、今日も魚だぞ」


アレンが皿を置くと、たまがすぐに駆け寄ってくる。


「うまいニャ」


「そうか、うまいか」


たまは夢中になって魚を食べている。


その隣では白が肉を食べていた。


「うまいワン」


「白もか。今日はちょっと多めにしておいたぞ」


「ワン!」


白は尻尾を振りながら肉を食べ続ける。


アレンは二匹を眺めながら満足そうに頷いた。


白はフェンリル。


たまは白虎。


どちらも、この世界では滅多に見ることのできない伝承級のモンスターだ。


だが、アレンにとってはもうペットだった。


「たま、魚ばかり食べてないで肉も食うか?」


「ニャー」


「白、魚も食うか?」


「ワン」


「どっちも食うのかよ」


二匹は当然のようにアレンの前に座る。


その光景を、少し離れた場所からクロノスが見ていた。


クロノスは腕を組み、複雑そうな顔をしている。


「……こいつら、いいキャラを演じやがって」


白は「ワン」。


たまは「ニャー」。


ピーちゃんは「ピー」。


三匹とも、アレンの前では完全にペットだ。


だが、その実力はそんな可愛らしいものではない。


白はS+。


たまはSS。


そしてピーちゃんに至ってはEX+。


自分もEXランクのエンシェントドラゴンだというのに、最近では自分だけが妙に普通に見えてくる。


「我も何か考えたほうがいいのではないか……」


クロノスは真剣に悩んでいた。


しかし、そんなことを考えている間にも時間は過ぎていく。


やがて、元勇者が80階層へやってきた。


クロノスは元勇者を迎える。


「元勇者よ」


「なんだ?」


「対戦相手が増えたぞ」


「増えた?」


元勇者はクロノスの言葉に反応する。


今までにも、このダンジョンでは常識では考えられない相手と戦ってきた。


それがさらに増えたという。


クロノスは、たまのところへ歩いていく。


「紹介しよう」


元勇者も後をついていく。


そこにいたのは、小さな白い猫だった。


元勇者は一瞬、意味が分からなかった。


「……猫?」


「違う」


クロノスが即答する。


「白虎だ」


「……」


元勇者の顔から表情が消えた。


「白虎?」


「そうだ」


「四神の……?」


「そうだ」


元勇者は、目の前の小さな猫を見る。


たまは元勇者を見上げる。


「ニャー」


「…………」


あまりにも普通の猫のような鳴き声だった。


だが、元勇者には分かる。


このダンジョンにいる存在は、見た目だけで判断してはいけない。


元勇者は改めて周囲を見渡した。


エンシェントドラゴン。


フェンリル。


そして白虎。


さらに、あの小さな鳥。


ピーちゃん。


見た目は小鳥だというのに、クロノスよりも上位の力を持っている。


「……このダンジョンには、いったいどれだけ伝承級のモンスターが集まっているんだ」


元勇者の声には、驚きが混じっていた。


一匹でも国を揺るがしかねない存在。


それが、このダンジョンには何匹もいる。


しかも――。


彼らは争っていない。


それどころか、互いに仲間として扱われている。


元勇者は、ふと考えた。


これほどのモンスターたちを従えている存在がいる。


エンシェントドラゴンを従え、フェンリルを従え、白虎を従え、さらにそれ以上の力を持つ存在までいる。


それらを一つにまとめているのが、ダンジョンマスターだ。


「……」


元勇者は息を呑む。


「これらを纏めるダンジョンマスターは……」


クロノスが振り返る。


「どうした?」


元勇者は、ゆっくりと言葉を続けた。


「神にも等しいのではないか」


クロノスは一瞬、黙った。


神。


そんな言葉を聞けば、普通なら否定するところだろう。


だが――。


クロノスはアレンのことを思い出す。


「……」


今日もマスタールームで、たまと白に餌をやっているアレン。


「うまいワン」


「うまいニャ」


「そうかそうか」


そんな光景が頭に浮かぶ。


「……まあ、好きに思えばいい」


クロノスは訂正しなかった。


元勇者の中で、アレンの存在がどんどん大きくなっていく。


伝承級のモンスターたちを従える、謎のダンジョンマスター。


いったいどれほどの力を持っているのか。


自分などでは、想像することすらできない。


そう考えていた。


実際のアレンの戦闘力は――。


ゴブリンリーダーにすら劣る。


剣を持たせても大したことはできない。


魔法を使わせても大した威力は出せない。


本人は戦うより、マスタールームでダンジョンを弄っているほうが好きだ。


そして今日も、そんなアレンは何も知らない。


「たま、魚もう一匹食うか?」


「ニャー」


「白も肉いるか?」


「ワン!」


「よしよし」


伝承級のモンスターたちに餌を与える。


それだけが、アレンの日課だった。


その光景を見て、元勇者ならきっとこう思うだろう。


――やはり、神だ。


実際には、ただのダンジョンニートである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。