グループダンジョン
アレンは、傘下に収めたダンジョンの状況をモニターで確認していた。
「……やっぱり減ってるな」
「何がですの?」
「冒険者だ」
新しく傘下に入ったダンジョンへやって来る冒険者の数は、以前より明らかに減っていた。
だが、その理由はすぐに分かった。
「まあ、当然か」
アレンは別のモニターに切り替える。
そこに映っていたのは、アレンのダンジョンだった。
こちらには大量の冒険者が集まっている。
「みんな、こっちに移っただけだ」
ダンジョンランドをはじめとした施設があり、宿泊場所もある。
さらにダンジョンとしての攻略環境も整っている。
わざわざ以前のダンジョンへ行く理由がなくなれば、冒険者が移動するのは当然だった。
「冒険者からすれば、より環境のいいダンジョンに行きますものね」
「そういうことだ」
アレンは頷いた。
「俺たちからすれば問題ない。こっちの売り上げが増えて、向こうの売り上げが減っただけだ」
「グループ全体で見れば変わらない、と」
「むしろ施設を増やした分だけ増えてる」
アレンは満足そうに頷いた。
しかし、そこで少し考える。
「……でも、これが普通のダンジョンだったら大変だな」
「どういうことですの?」
「冒険者が別のダンジョンに流れたら、そのダンジョンには何も残らない」
魔石を持ち込む冒険者が減る。
探索によって発生する収益も減る。
冒険者向けの店も儲からなくなる。
店が減れば、さらに冒険者が来なくなる。
「冒険者が減るだけで、ダンジョンそのものの存続に関わるわけですわね」
「そういうこと」
アレンは腕を組んだ。
「ダンジョンって、魔物がいるだけじゃ駄目なんだな」
「冒険者が来て初めて経済が回る、と」
「考えてみれば、俺のダンジョンも同じか」
アレンのダンジョンには、冒険者が来ることでポイントが入る。
そのポイントを使って施設を増やし、さらに冒険者を呼ぶ。
つまり、ダンジョンも一種の商売なのだ。
「……俺ってダンジョン経営のコンサルタントだっけ?」
「違いますわ」
「だよな」
「侵略者ですわ」
セレスティアが即答した。
「そっちだった」
アレンはモニターに映る傘下のダンジョンを眺めた。
侵略して、制圧して、傘下に収めた。
その結果やっていることは、冒険者の流れを見ながらグループ全体の売り上げを考えることだった。
「……侵略者って、もっとこう、悪いことをするものじゃないのか?」
「アレンが言っても説得力がありませんわね」
「それもそうか」
アレンは再びモニターを操作した。
「まあ、潰れたら困るしな」
結局、アレンは今日もダンジョンの経営状態を確認するのだった。




