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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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ダンジョンの改良

『アレン様、新しいダンジョンに改良を加えているのですか?』


「前のダンジョンマスターは、冒険者のこと、人間のことが分かっていないな」


『仕方ないと思いますよ』


「ん?」


『あなたはモンスターの気持ちが分かりますか?』


「……」


アレンは黙って考えた。


言われてみれば、その通りだった。


アレンは人間だった頃の記憶を持っている。


だから、人間が何を欲しがるのかはある程度分かる。


しかし、モンスターの気持ちとなると話は別だ。


「なるほど、そういうことか」


『分かりましたか?』


「前のダンジョンマスターも、たぶん同じだったんだろうな」


『はい』


「自分がダンジョンだから、ダンジョンにとっての価値で考えてしまう」


『その通りです』


アレンはドロップアイテムのリストを表示させた。


そこには武器や防具、素材、薬品など、様々なアイテムが並んでいる。


「こんな物が好きでしょって感じのラインナップだな」


『冒険者が喜ぶであろう物を選定した結果です』


「まあ、仕方ないと思いますよ」


アレンはリストを眺めながら考える。


「でも、これじゃ効率が悪い」


『効率が悪い、ですか?』


「同じダンジョンポイントで生み出されたアイテムは、ダンジョンにとって同じ価値なんだろ?」


『はい』


「だったら、ダンジョンからすれば、どのアイテムを出しても大きな違いはない」


『その通りです』


「だけど、人間は違う」


アレンは一つのアイテムを指差した。


「例えば、これをドロップしても喜ぶ冒険者は少ないだろ」


『そうですね』


「逆に、同じくらいのポイントで作れる物でも、冒険者が欲しがる物なら価値が全然違う」


『……』


「冒険者にとっては、一つ一つのアイテムに価値の差があるんだ」


アレンはドロップリストを眺める。


「なら、冒険者にとっての外れアイテムを無くせばいい」


『外れアイテムをなくす……』


「ダンジョンポイントは低い。でも、人間にとって価値の高い物を出すんだ」


『そのようなアイテムがあるのでしょうか?』


「ある」


『例えば?』


「鋼の剣」


『鋼の剣……ですか?』


「そうだ」


アレンは鋼の剣の項目を表示させた。


「鋼の剣は強い」


『はい。冒険者にとっては非常に価値のある武器です』


「でも、ダンジョンポイントで作るコストはそれほど高くない」


『……』


「だったら、かなりお得だろ?」


『人間にとって価値が高いのに、ダンジョンにとっての負担は小さい』


「そういうことだ」


『ですが、鋼の剣をドロップさせると、冒険者がそれを売却する可能性があります』


「それでいい」


『よいのですか?』


「冒険者が売れば、店や商人が買う。商人が買えば、また誰かが使う」


アレンは笑った。


「重要なのは、冒険者が欲しいと思うことだ」


『なるほど……』


「冒険者が欲しい物なら、ダンジョンに来る理由になる」


『そして、ダンジョンに来る冒険者が増えれば……』


「ポイントも増える」


『そういう仕組みですか』


「それだけじゃない」


アレンはリストをスクロールしていく。


「冒険者が喜ぶ物でも、ダンジョンポイントを大量に使うなら意味がない」


『費用対効果を見る必要がある』


「そう」


アレンは頷いた。


「人間にとっての価値と、ダンジョンポイントで作るコスト。その差が大きい物を探す」


『それが、効率の良いドロップアイテムになる』


「その通り」


『では、冒険者が何を欲しがっているのかを調べる必要がありますね』


「そうだな」


アレンは少し考える。


「武器、防具、回復薬……あとは消耗品か」


『冒険者が普段から購入している物を調べれば、需要が分かるかもしれません』


「それだ」


アレンは新しいリストを作り始めた。


「強い物を適当に並べるんじゃない」


『はい』


「人間が欲しがる物を調べる。そして、ダンジョンポイントが安い物を選ぶ」


『理解しました』


「これなら、制圧したダンジョンでもポイントを稼げる」


アレンは満足そうに頷いた。


「ダンジョンにとっては安物でも、人間にとっては宝物って物を探せばいいんだ」


『……人間の価値観を利用するのですね』


「利用というより、商売だな」


『商売ですか』


「欲しい物を安く提供する。代わりに、こっちはポイントをもらう」


アレンは新しいドロップリストを眺める。


「考えてみれば、ダンジョンだって商売と同じなんだよ」


『なるほど』


「さて、鋼の剣以外にも探してみるか」


アレンは次々と項目を開いていった。


制圧したばかりのダンジョンのドロップリストが、少しずつ書き換えられていく。


これまでのダンジョンが「こんな物が欲しいだろう」という考えで作られていたのなら。


これからは違う。


「冒険者が本当に欲しい物を出す」


アレンはそう呟きながら、リストの改良を続けていった。

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