ダンジョン接続
「おい、ダンジョンの中に検問所が出来てるぞ」
「検問所?」
「ああ。昨日までは、こんなのなかっただろ」
冒険者たちが集まっている先には、木造の建物が建っていた。
入口には門があり、その脇には見慣れない看板まで置かれている。
『ダンジョン間連絡通路』
「なんだ、あれは?」
「さあな。誰か使ったのか?」
「違うダンジョンに繋がっているらしいぞ」
「違うダンジョンに?」
冒険者たちは顔を見合わせた。
ダンジョンというものは、それぞれ独立している。
少なくとも、これまで彼らはそう思っていた。
「行ってみるか」
「大丈夫なのか?」
「検問所があるんだ。いきなりモンスターが出てくるような場所には見えないぞ」
数人の冒険者が警戒しながら門をくぐる。
その先には、薄暗い洞窟が続いていた。
しかし、しばらく歩くと景色が変わった。
「……なんだ、ここは?」
洞窟を抜けた先に広がっていたのは、巨大な町だった。
「町に着いたぞ」
「ここが……ダンジョンの中なのかよ」
目の前には大通りが伸び、建物が並んでいる。
冒険者らしき人々が歩き、商人が店を開き、馬車まで走っている。
「待てよ……」
一人の冒険者が町の入口に掲げられた看板を見る。
「ここって、噂のSSSランクダンジョンじゃないか?」
「SSSランク?」
「ああ。聞いたことがある。とんでもなく深いダンジョンだが、一階層が町になっていて、そこではモンスターに襲われないらしい」
「確かに聞いたことがあるな」
「ってことは……」
冒険者たちは町を見回した。
「ここ、本当にダンジョンの中なのか?」
「そういうことになるな」
「すげえ……」
今までなら、ダンジョンの中で安全に休むためには、冒険者同士で警戒しながら野営する必要があった。
だが、この町には普通の町と同じように建物が並んでいる。
「武器屋もあるぞ」
「鍛冶屋もある」
「おい、あそこ……ギルドまであるぞ」
「本当に町じゃねえか」
冒険者たちの目が輝く。
そして、一人がぽつりと言った。
「どうする?」
「何が?」
「こっちのダンジョン、冒険者ランクの認定ダンジョンなんだよな?」
「ああ」
「だったら……」
男は町の中を見渡した。
「こっちで活動してみるか?」
仲間たちも同じことを考えていたらしい。
「それ、いいな」
「ここなら宿もあるんだろ?」
「ああ。さっき見えた」
「ダンジョンの中でモンスターに襲われる心配なく宿に泊まれるなんて最高だな」
「しかも武器が壊れても鍛冶屋がある」
「食料も買える」
「ギルドで依頼まで受けられるなら、わざわざ外に戻る必要がないじゃないか」
冒険者たちは笑いながら町へ入っていく。
彼らにとっては、ただ便利な新天地が見つかっただけだった。
だが――。
この日を境に、ダンジョンの常識そのものが少しずつ変わっていくことになる。




