ダンジョンの制圧
アレンはクロノスを呼び出した。
「クロノス、白を連れてダンジョンの制圧をしてこい」
「我が?」
クロノスは意外そうにアレンを見る。
「そうだ。ダンジョンマスターを白にして制圧するんだ」
「白をダンジョンマスターにするのか?」
「そういうことだ」
アレンは白を見る。
白はクロノスの隣に座ったまま、こちらを見上げている。
「ワン」
「……分かっているのか?」
「ワン!」
白は元気よく返事をした。
クロノスは白を見る。
「それで、制圧した後はどうする?」
「マスタールームに扉を繋げて帰ってこい」
「なるほど」
「今回の目的は、拠点を増やすことだ」
アレンはそう言ってクロノスを見る。
「制圧したダンジョンを拠点にして、拠点間をワープできるようにする」
「分かった」
クロノスは頷いた。
「ただし、道中はなるべく気づかれるな」
「我のサイズで気づかれないのは無理ではないか?」
クロノスは自分の身体を見下ろした。
「……夜に出発しろ」
「それしかないだろうな」
クロノスは諦めたように答えた。
「白、準備はいいか?」
「ワン!」
白は尻尾を振る。
「返事だけはいいな」
「ワン!」
「では、夜になったら出発だ」
「了解した」
そして夜。
白とクロノスは、目的のダンジョンへ向かった。
二人がダンジョンに入ると、侵入者として感知されたのだろう。
ほどなくして、二人のもとへモンスターの大群が押し寄せてきた。
前方だけではない。
左右からも、後方からも次々とモンスターが現れる。
ダンジョンそのものが二人を排除しようとしているかのようだった。
「かなりの数だな」
クロノスは迫り来るモンスターの群れを眺める。
白も隣でモンスターたちを見ていた。
「ワン」
「まあ、そうなるだろうな」
二人の前に集まったモンスターの数は、普通の冒険者なら撤退を考えるほどだった。
だが――。
圧倒的な個の前では、数は障害にならない。
クロノスが一歩前へ出る。
その瞬間、空気が変わった。
モンスターたちの勢いが明らかに鈍る。
それでもダンジョンに従うモンスターたちは、次々と襲いかかってきた。
しかし、クロノスと白を止めることはできなかった。
一体、また一体とモンスターが倒れていく。
どれだけ数が増えても、二人の進行を止めることはできない。
「この程度か」
クロノスは淡々と進んでいく。
「ワン!」
白もその後をついていく。
やがて二人はダンジョンの奥へと進み、ダンジョンコアを発見した。
白がダンジョンコアへ近づく。
そして――。
ダンジョンの制圧は完了した。
「終わったな」
クロノスが周囲を見渡す。
白は尻尾を振っている。
「ワン」
「では、マスタールームへ戻るか」
「ワン!」
制圧されたダンジョンに、マスタールームへと続く扉が現れる。
二人はその扉をくぐり、アレンのもとへ戻っていった。




