↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
222/427

勇者候補争奪戦

アレンのダンジョンに、これまでにないほど大量の冒険者たちが押し寄せていた。


Aランクパーティー。


Bランクパーティー。


普段なら、それぞれ自分たちの活動範囲でダンジョン攻略や依頼をこなしているはずの冒険者たちだった。


だが、今は違う。


目的は同じだった。


「勇者候補をパーティーに入れるぞ!」


「うちのパーティーなら前衛が空いている!」


「いや、うちは後衛を探している!」


「勇者候補ならどこでもいいだろ!」


「うちに来てもらえ!」


大勢の冒険者たちが、勇者候補たちを探していた。


原因は、勇者候補たちがパーティーを募集し始めたことだった。


勇者候補の多くは、冒険者としては珍しくソロで活動している。


もちろん、最終的には勇者としてパーティーを組むことになる。


だが、まだ正式な勇者ではない今は、自分自身の力を磨くために一人で活動している者も多かった。


そして、その存在はAランクやBランクのパーティーにとって非常に魅力的だった。


AランクやBランクまで上り詰めたパーティーには、別の問題がある。


メンバーの入れ替えだ。


「新人を入れて育てる」


言葉にすれば簡単だ。


しかし、実際にはそうはいかない。


新人を入れれば、その新人に合わせて戦い方を変えなければならない。


新人が戦闘についてこられるようになるまでには時間もかかる。


その間は、どうしてもパーティー全体の稼ぎが落ちる。


だからといって、即戦力を探すのも難しい。


AランクやBランクのパーティーが求める実力を持った冒険者は、それほど多くない。


いたとしても、すでに別のパーティーに所属している。


普段なら、こちらから声をかけても相手にされないことすらある。


ところが今回は違った。


勇者候補のほうからパーティーを募集している。


しかも、その実力は申し分ない。


「今までなら、こっちから誘っても断られていたのに……」


あるAランク冒険者が呟いた。


「それが今は向こうから募集してるんだぞ」


「絶対に逃すな!」


こうして、勇者候補を巡る争奪戦が始まった。


冒険者たちは自分たちのパーティーの実績を説明し、装備を見せ、攻略したダンジョンについて語る。


「うちは前衛が三人いる!」


「こっちは回復役が二人だ!」


「うちなら50階層まで行けるぞ!」


「それならうちはすでに――」


まるで就職活動だった。


ただし、就職する側も就職させる側も、全員が命懸けの冒険者である。


アレンはマスタールームのモニターから、その様子を眺めていた。


「……なんだこれ」


「勇者候補の争奪戦ですわね」


隣にいたセレスティアが答える。


「すごいことになってるな」


「それだけ勇者候補の価値が高いということですわ」


そして、しばらくすると変化が起きた。


勇者候補の一人が、Aランクパーティーに加入した。


そのパーティーは、すぐに50階層へ向かった。


「行ったな」


「ええ」


アレンはモニターを見続ける。


50階層。


Aランクのボスが待ち構えている。


勇者候補が加入したパーティーは、以前よりも明らかに戦力が上がっていた。


そして――


「倒したぞ!」


50階層突破。


勇者候補を加えたAランクパーティーによる、三組目の50階層クリアだった。


「三組目か」


アレンは少し驚いた。


「勇者候補が入ると、やっぱり早いな」


「他のパーティーも続きそうですわね」


実際、その後も動きがあった。


勇者候補を加えたパーティーが、次々と50階層へ挑戦していく。


今まで50階層で足止めされていたパーティーにとって、勇者候補の加入は大きな戦力強化だった。


しかし、そんな状況を見ていた冒険者ギルドは、ある発表を行った。


『勇者候補を加入させたパーティーが、その勇者候補の戦力によって撃破したボスについては、パーティーランクの査定には加算しないものとする』


冒険者たちはざわめいた。


「つまり、50階層を突破してもランクアップには使えないのか?」


「そういうことだな」


「じゃあ、勇者候補を入れる意味がないじゃないか」


「いや、攻略自体には意味があるだろ」


「それはそうだが……」


ギルドの判断は明確だった。


勇者候補は、将来的に勇者になる可能性を持った特別な存在だ。


その力を借りて突破した実績まで、通常のパーティーの評価として加算するわけにはいかない。


つまり、勇者候補を加入させれば50階層を突破できる。


しかし、それだけではパーティーランクは上がらない。


それでも――


「だったら、うちは勇者候補を入れるぞ」


「うちもだ!」


「ランクより稼ぎだ!」


争奪戦は終わらなかった。


アレンはモニターを見ながら呟いた。


「結局、ランクより実利を取ったか」


「AランクやBランクの冒険者にとっては、そのほうが重要な場合もありますもの」


「まあ、そうだよな」


50階層を突破できる。


それだけで得られるものは大きい。


そして何より――


勇者候補を巡る冒険者たちの争奪戦は、まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。