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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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社会勉強の続き

木工所を後にした三人は、町の別の区画へ向かっていた。


「次はどこへ行くんだ?」


アレンが尋ねる。


「次は衣料品ですわ」


セレスティアが答えた。


「クラリスには、普段着ている服がどのように作られているのかを見てもらいます」


「服ですの?」


クラリスは自分のドレスを見下ろした。


「これは……服屋で買ってくるものではありませんの?」


「最終的にはそうですわね」


「やっぱりそうじゃないか」


アレンが口を挟む。


「ですが、その前にいくつもの工程がありますわ」


セレスティアはそう言って、町の牧畜区画へ向かった。


そこには、たくさんの羊が飼われていた。


「羊……」


クラリスが目を輝かせる。


「かわいいですわ」


「近づきすぎるなよ。餌を持ってると囲まれるぞ」


「そんなにですの?」


「前に試したら大変だった」


アレンが苦笑する。


牧場では、羊の世話をする人々が働いていた。


餌を与え、水を替え、健康状態を確認する。


そして、一定の時期になると羊の毛を刈る。


「これが服の材料になるんですの?」


クラリスが刈り取られた羊毛を見る。


「そうですわ」


「このまま服になるんですの?」


「そのままでは無理です」


セレスティアが首を振った。


「まずは毛に混じっている異物を取り除き、使える毛を選別します」


作業場では、職人たちが羊毛を広げていた。


同じ羊毛でも状態には違いがある。


長さや太さ、汚れ具合などを確認しながら、用途に合わせて分けていく。


クラリスは真剣に作業を眺めていた。


「同じ羊の毛でも、全部同じではないんですのね」


「ええ。服にするものもあれば、別の用途に使うものもあります」


選別された羊毛は、次の工程へ送られる。


そこで毛をほぐし、繊維を整えていく。


そして、それを細く引き伸ばしながら撚っていく。


「糸になりましたわ!」


クラリスが声を上げた。


さっきまで大量の羊毛だったものが、今度は細い糸になっている。


アレンも興味深そうに眺めていた。


「すげえな。羊の毛が糸になるのか」


「あなたも知っているでしょう」


「知識としてはな。でも実際に見ると違うな」


糸は束ねられ、次の工房へ運ばれていく。


そこでは大きな織機が動いていた。


縦方向に張られた糸の間を、横方向の糸が行き来する。


カタン、カタン、と一定の音を立てながら、少しずつ布が出来上がっていく。


「……布になってますわ」


クラリスは織機の前から動かなかった。


「さっきまで糸だったのに」


「これが織物ですわ」


セレスティアが説明する。


「糸を組み合わせて、一枚の布にしていきます」


「では、この布が服になるんですの?」


「そうです」


次に三人が向かったのは、仕立屋だった。


店の奥では、職人たちが完成した布を広げていた。


布の状態を確認し、客の体格に合わせて寸法を取り、型を決めていく。


そして布を裁断し、縫い合わせる。


一枚の布が、少しずつ服の形へ変わっていった。


「なるほど……」


クラリスは感心しながら眺めている。


「羊の毛から、こんなものができるんですのね」


「そういうことですわ」


セレスティアが頷く。


やがて、仕立て上がった一着のドレスが職人から手渡された。


クラリスは完成した服を見つめる。


「これが……最初は羊だったんですの?」


「羊毛なら、そういうことですわね」


「……なんだか不思議ですわ」


アレンも完成したドレスを眺めた。


「こうやって見ると、服って完成するまで結構大変なんだな」


「そうですわ」


セレスティアは頷く。


「だからこそ、仕立ての良い服には価値がありますの」


クラリスは自分のドレスの袖をつまんだ。


「これも、誰かがこうやって作ってくださったんですのね」


「ええ」


「今まで服屋に並んでいるものしか見ていませんでしたわ」


「それも社会勉強の一つですわね」


セレスティアが微笑む。


クラリスはもう一度、完成したドレスを眺めた。


「次から服を見るとき、ちょっと見方が変わりそうですわ」


「俺もだな」


アレンも頷いた。


そして二人は、仕立屋を後にした。


次の見学先へ向かうセレスティアの後を追いながら、クラリスはまだ自分の服を眺めていた。

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