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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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武器マニア集団

50階層を目指す勇者候補たちは、何度も同じSランクパーティーと顔を合わせるようになっていた。


挑戦する時間が重なることが多く、休憩所で顔を合わせることも珍しくない。


最初は互いに距離を取っていたが、何度も顔を合わせているうちに自然と会話をするようになった。


そして、いつの間にか恒例になっていたのが――。


装備自慢だった。


「見てくれよ、この剣」


Sランクパーティーの一人が、自慢げに腰の剣を抜いた。


「この前のオークションで5000万したんだ」


「5000万!?」


勇者候補たちが一斉に反応する。


「切れ味も強度もなかなかだぞ。値段に見合うだけの価値はある」


「ちょっと見せてください!」


勇者候補の一人がすぐに剣を受け取った。


刃を眺める。


柄を見る。


重量を確かめる。


そして、魔力を少しだけ流す。


「……いいですね」


「分かるのか?」


「はい。魔力の通りがかなりいいです」


「お前、本当に武器が好きだな」


Sランク冒険者が笑う。


しかし、勇者候補は気にする様子もない。


「この剣、どこの鍛冶師が作ったんですか?」


「そこまでは知らないな」


「じゃあ、オークションの出品者は?」


「それも知らん」


「そうですか……」


明らかに残念そうだった。


すると、別のSランク冒険者が自分の剣を抜いた。


「俺のも見てみるか?」


「はい!」


勇者候補たちの視線が一斉に集まる。


「俺の剣は隣国のBランクダンジョンをソロ討伐したときのボスドロップ品だぞ」


「ボスドロップ!?」


勇者候補たちの目が輝いた。


「触っていいですか?」


「もちろん」


勇者候補は剣を受け取ると、さっきよりもさらに真剣な顔になる。


「……魔力の残滓がありますね」


「分かるか?」


「はい。普通の魔剣とは違います」


「そこまで分かるのかよ」


「このボスは何だったんですか?」


「確か、ミノタウロスだったな」


「なるほど……」


勇者候補は剣を眺めながら考え込む。


「素材の一部がボスの角に近い性質を持っているのかもしれません」


「お前、戦闘より武器の鑑定のほうが得意なんじゃないか?」


「それは困ります」


勇者候補は真顔で答えた。


「勇者になったら聖剣を使いたいので」


「お前、そこは普通に勇者になりたいって言えよ」


周囲から笑いが起きる。


しかし、勇者候補たちの武器への興味はそれだけでは終わらなかった。


「そういえば、あなたたちって勇者パーティーの荷物持ちをしたことがあるんですよね?」


「ああ」


Sランクパーティーの一人が答える。


「何度か手伝ったことがある」


「勇者も一緒だったんですか?」


「もちろんだ」


「聖剣は?」


「持ってたぞ」


「どんな感じでした!?」


勇者候補たちが一斉に身を乗り出す。


「……お前ら、本当に聖剣好きだな」


「当然です!」


即答だった。


「実物を近くで見たことがあるんですか?」


「ある」


「触ったことは?」


「それはない」


「どんな大きさでした?」


「普通の剣とそこまで変わらない」


「重さは?」


「持ったことがないから分からん」


「刃の形状は?」


「お前ら質問が多すぎる!」


Sランク冒険者が笑う。


だが、勇者候補たちは止まらない。


勇者候補たちは、全員が武器好きだった。


特に剣へのこだわりは凄まじい。


珍しい素材。


有名な鍛冶師。


ボスドロップ。


魔剣。


聖剣。


古代武器。


武器の話になると、普段の勇者候補らしい真面目な雰囲気が消える。


「この剣なら、こっちの鞘のほうが合いますよ」


「なんでだ?」


「抜くときに刃がぶれます。鞘の角度を少し変えたほうがいいです」


「そこまで分かるのか?」


「武器ですから」


勇者候補は当然のように答える。


Sランクパーティーも、そんな勇者候補たちを面白がっていた。


「じゃあ次は俺の武器を見てくれ」


「ぜひ!」


「これはオークションじゃなくて、昔の知り合いから譲ってもらったものだ」


「それは珍しいですね!」


気付けば、50階層攻略前の休憩時間は装備自慢大会になっていた。


「俺の剣は5000万」


「俺のはボスドロップ」


「俺たちは勇者パーティーの荷物持ちをしたことがある」


「聖剣を近くで見た」


そして勇者候補たちは、その話を聞くたびに目を輝かせる。


その様子をマスタールームから見ていたアレンは、少し呆れていた。


「……あいつら、本当に武器好きなんだな」


「はい」


「勇者候補って、もっとこう……勇者になるために修行とかしてるイメージだったんだけど」


「修行もしています」


「まあ、それはそうか」


アレンはモニターを見る。


50階層では、彼らは真剣に戦っている。


そして休憩になると、今度は真剣に武器の話をしている。


「まあ、好きなものがあるのはいいことか」


アレンはそう言って笑った。


50階層攻略を目指す勇者候補たち。


その中でも、武器の話をしているときだけは、全員が妙に生き生きしていた。

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