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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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勇者候補の現状

アレンのダンジョンに挑戦している勇者候補たちは、いつの間にか三つのグループに分かれていた。


37階層。


40階層。


そして50階層。


現在のところ、最も先に進んでいるのは50階層に挑戦しているグループだった。


一方で、37階層から先に進めない者たちもいた。


何度挑戦しても突破できない。


何度仲間と相談しても、攻略の糸口が見つからない。


やがて、その中から少しずつ勇者候補を辞退する者が出始めた。


「自信をなくして脱落したか」


アレンはマスタールームのモニターを眺めながら言った。


「勇者候補に選ばれたこと自体が相当なプレッシャーでしょうから」


ダンジョンコアが答える。


「まあ、そうだろうな」


勇者候補という肩書きを持ちながら、何十回挑戦しても37階層を突破できない。


自分より先に進んでいく者たちを見れば、焦りもする。


そして一度、自分には無理だと思ってしまえば、そこから立て直すのは難しい。


「40階層の連中は?」


「先ほど突破しました」


「おお」


アレンは別のモニターを見る。


40階層を突破したグループは、そのまま50階層に挑戦しているトップグループへと合流していく。


しかし――。


「50階層は?」


「いまだ突破者なしです」


50階層のボスはAランク。


しかも、ソロで討伐するとなれば話は別だった。


Aランクボスを一人で倒すには、個人としてSランクに匹敵する実力が必要になる。


「Sランクパーティーでも?」


「Sランクパーティーは存在します。しかし、個人ランクでSランクと呼べる冒険者は、この国には一人もいません」


「なるほど」


アレンは納得した。


パーティーとしてSランクでも、一人一人がSランクというわけではない。


それを考えれば、50階層の突破者がまだ現れないのも当然だった。


「でも、面白い奴がいるな」


アレンがモニターを指差した。


そこには、一人の勇者候補が映っている。


その男は何度も同じボスに挑戦していた。


一度負ける。


外に戻る。


また挑戦する。


そして、また同じところまで到達する。


「こいつ、また同じところまで来たぞ」


「はい。過去の戦闘記録と比較すると、ほぼ同じ状況を再現しています」


「やっぱりそうか」


勇者候補は、以前と同じ攻撃を繰り出す。


ボスが同じ動きをする。


それに対して、勇者候補も同じように対応する。


そして――。


「おっ」


アレンが声を上げた。


今回はかなり深くまで攻め込んだ。


以前なら受けていた攻撃を避け、反撃を入れる。


また一撃。


さらに一撃。


ボスの体力が大きく削れていく。


「いいところまでいくな」


「同じ状況を何度も経験していますから」


「将棋の棋譜を丸暗記してるだけじゃないのか?」


アレンはモニターを見ながら呟いた。


「この状況ならこの攻撃。この攻撃が来たらこう動く。そうやって何度も同じ局面を作ってる」


「それも立派な攻略法ではあります」


「まあ、それはそうなんだけどな」


結局、その勇者候補も最後には敗北した。


しかし、過去最高のところまで到達していた。


「また挑戦するようです」


「根性あるな」


アレンは感心しながら、別の資料を開いた。


勇者候補たちについて集められた情報だった。


「……ん?」


そこに一人の名前があった。


「今の勇者についてか」


アレンは資料を読み進める。


現在の勇者。


その戦闘能力について書かれた記録だった。


「先代の勇者と模擬戦をして……互角?」


アレンの手が止まった。


「はい。現在の勇者は、勇者候補だった頃から先代の勇者と模擬戦を行っていました」


「それで互角?」


「記録上は、互角の戦いを繰り広げたとされています」


「候補の頃から?」


アレンはモニターに視線を戻した。


50階層に挑戦している勇者候補たち。


37階層で自信を失って脱落する者。


40階層を突破して50階層へ進む者。


そして、Aランクボスを相手に、何度も同じ局面を作り出して少しずつ攻略法を覚えていく者。


それだけでも十分に規格外だと思っていた。


しかし――。


「勇者って、そんな化け物だったのか」


アレンは思わず呟いた。


候補の段階ですでに、先代の勇者と互角。


そして現在は、その男が正式な勇者として活動している。


「……50階層を突破できる奴が出てこないのも当然か」


アレンはそう言いながらも、どこか楽しそうだった。


「この国、思ったより面白い奴がいるな」


ダンジョンの中では、今日も勇者候補たちが50階層のボスに挑み続けている。


その戦いを、ダンジョンマスターであるアレンはマスタールームから静かに眺めていた。

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