セレスティアの領地開発
セレスティアは計画を立てていた。
騎士団の増員。
そして、ダンジョンによる物資の吸収。
この二つを組み合わせて、ダンジョンポイントを効率よく稼ぐ。
ただし、セレスティアには一つ問題があった。
「ダンジョンポイントを稼ぐためだけに、無駄なことをするのは嫌ですわね」
せっかく領地を運営しているのだ。
ダンジョンのためだけに余計な出費を増やすのは本末転倒である。
そこでセレスティアは考えた。
「インフラ整備を前倒しすればいいのでは?」
王妃が進めているインフラ整備は、日本で言えば一桁国道のような主要道路の整備に近い。
しかし、領主であるセレスティアにもやるべきことがある。
県道。
市道。
領地内の生活道路。
領民が日常的に使う道路は、領主が整備しなければならない。
ならば、それを早めればいい。
道路を整備すれば領民の生活は便利になる。
物流も改善する。
領地の発展にもつながる。
そして――
「工事をすれば、当然ゴミも大量に出ますわね」
セレスティアはにっこりと笑った。
「それをダンジョンに吸収させればいい」
一石二鳥だった。
さっそくセレスティアは父親のもとへ向かった。
「お父様」
「どうした?」
「インフラ整備の計画を前倒しで行いたいのです」
父親は少し驚いた。
「急だな」
「ええ」
「何か理由があるのか?」
セレスティアは一瞬だけ考えた。
ダンジョンポイントを稼いで車を買いたい。
そんな理由を正直に話すわけにはいかない。
「領地の発展を考えてのことですわ」
父親は娘の顔をじっと見た。
そして、ふっと笑った。
「お前には何か考えがあるんだろう」
「……」
「好きにしていい」
「ありがとうございますわ」
許可が下りた。
その日から、領地では道路工事が次々と始まった。
古い道を整備する。
道幅を広げる。
舗装する。
橋を補修する。
新しい道路を造る。
工事が進むにつれて、大量の土砂や廃材、不要になった資材などが発生した。
そして、それらはセレスティアのダンジョンへ運ばれていく。
「吸収開始」
ダンジョンが物資を吸収する。
ポイントが増える。
また工事が進む。
さらにポイントが増える。
「……」
セレスティアはマスタールームの画面を見つめていた。
今日のポイント。
昨日より多い。
明日の予測値。
さらに多い。
「ふふっ」
口元が緩む。
「今日も順調ですわ」
道路は良くなる。
領地は発展する。
ダンジョンポイントも増える。
まさに一石二鳥。
セレスティアは毎日増えていくポイントを眺めながら、にっこりと笑っていた。
ただし、セレスティアはまだ気づいていなかった。
自分の個人資産で魔石を大量に購入し、それをダンジョンに吸収させれば――
「車、今すぐ買えるじゃない」
という単純な事実には。
ダンジョンポイントを貯めることに夢中になっているセレスティアは、その発想にまだ至っていなかった。




