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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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ダンジョン掌握

セレスティアは騎士団を率いてダンジョンに向かっていた。


目的地は、領地からほど近い場所にあるダンジョン。


すでに冒険者たちによって攻略済みとされているダンジョンだった。


馬車の中ではなく、セレスティア自身も騎士団とともに進んでいる。


その様子を見て、騎士の一人が疑問を口にした。


「お嬢様、あのダンジョンは攻略済みで、今更何の用があるのでしょう?」


「ダンジョンを掌握しに行くのよ」


「掌握、ですか?」


騎士は首を傾げた。


「冒険者の話では、二十階層のダンジョンで、最奥に到達しても何もないと聞いてます」


すでに攻略されたダンジョン。


二十階層まで到達している。


それなのに、何もなかった。


冒険者たちの間では、そういう認識になっている。


だが、セレスティアは迷いなく答えた。


「それは手順を踏んでないから、本当の最奥にたどり着けていないのよ」


「なるほど……」


騎士は納得した。


「さすがお嬢様です」


セレスティアは満足そうに頷く。


「私を守って、最奥まで案内しなさい」


「お嬢様には指一本触れさせません」


騎士団長が力強く答える。


「頼りにしていますわ」


やがて、一行はダンジョンへ到着した。


セレスティアは騎士たちを見回す。


「準備はできてるかしら?」


「勿論、いつでもいけます」


「行きましょうか」


セレスティアを先頭に、騎士団がダンジョンへ入っていく。


ところが――。


「……あれは何かしら?」


セレスティアが立ち止まった。


少し先に、白い布が掲げられている。


「白旗ですね」


「いつもあるのかしら?」


「聞いたことないですね」


騎士たちも不思議そうに白旗を見る。


「まあいいわ。奥に向かいましょう」


さらに進んでいく。


しかし、すぐに別の違和感に気づいた。


「お嬢様」


「何かしら?」


「モンスターが一匹もいません」


確かにいない。


気配すらない。


普通なら、ダンジョンを進めばモンスターが襲ってくる。


だが、このダンジョンでは何も起こらなかった。


「都合がいいわね」


セレスティアは気にすることなく歩みを進める。


騎士団もその後をついていく。


結局、一度も戦闘することなく二十階層まで到達した。


そして、最奥。


本来なら強力なモンスターが待ち構えているはずのボス部屋。


「ボスもいませんわね」


巨大な部屋には、何もいなかった。


ただ静かな空間が広がっている。


「やはり何かありますね」


騎士の一人が周囲を警戒する。


すると――。


部屋の奥に、今まで存在しなかった扉が現れた。


セレスティアはその扉を見る。


「これが本当の最奥ですわね」


そして、騎士たちを振り返った。


「あなたたちはここで待ちなさい」


「お嬢様、気をつけてください」


「ええ」


セレスティアは一人で扉へ向かった。


扉を開く。


その先にあったのは――。


マスタールームだった。


セレスティアが中へ入る。


すると、部屋の中央にあるダンジョンコアが反応した。


『我がダンジョンは降伏します』


「……」


『支配権を譲渡します』


セレスティアは少しだけ目を丸くした。


まさかここまで簡単に手に入るとは思っていなかった。


「ピーちゃん」


「ピー」


「ダンジョンマスターになって」


「ピー!」


ピーちゃんが返事をする。


その瞬間、セレスティアの目の前に新しいダンジョンの情報が表示された。


これで――。


「これでアレンと連絡がとれるわね」


セレスティアはすぐに通信機能を使う。


「繋いで」


しばらくすると、アレンの声が聞こえてきた。


『なんだ?』


「アレン、ダンジョンを手に入れましたわ」


『うわっ、ビックリした!』


突然連絡が来たことに、アレンが驚く。


『もう手に入れたのか?』


「ええ。思ったより簡単でしたわ」


『……』


アレンが何とも言えない沈黙をする。


「こちらのマスタールームは、そちらとかなり違いますね」


セレスティアは周囲を見回す。


アレンのマスタールームと比べると、できることも設備もかなり違う。


『こちらと同じ仕様にアップデートしとくよ』


「お願いするわ」


セレスティアは新しく手に入れたダンジョンを見回す。


そして確認する。


「こちらのダンジョンは好きにしていいのよね?」


『なるべく干渉しないようにする』


「それでいいわ」


セレスティアは満足そうに頷いた。


「それなら、マスタールーム同士を繋いで」


『え?』


「扉を開いたら、そちらへ行けるようにするの」


『……まあ、それくらいなら』


セレスティアは早速、今後のことを考える。


「騎士団に指示したら、マスタールームから戻るわ」


『好きにしたら?』


「そうしますわ」


そして、セレスティアはふと思い出したように付け加える。


「そうそう。車置いて帰るから、新しい車を用意してね」


『なんでだよ』


セレスティアはアレンの抗議を気にせず通信を切った。


その後、マスタールームから出る。


待っていた騎士団のもとへ戻ると、セレスティアは早速指示を出した。


「このダンジョンにはセーフティーゾーンを作りましたわ」


「セーフティーゾーンですか?」


「ええ。ここなら安全に活動できます」


セレスティアはさらに続ける。


「騎士団の訓練施設を作りますわ」


騎士たちが顔を見合わせる。


「訓練施設ですか?」


「ええ。ただ剣を振るだけではありません」


セレスティアはダンジョンの奥を見る。


「モンスターを相手にした実践訓練も行います」


騎士団にとって、これ以上ない訓練場所になる。


安全に戻れる場所を確保しながら、実際のモンスターと戦うことができる。


「ここを、騎士団の新しい訓練場所にしますわ」


「承知しました!」


騎士たちが一斉に返事をする。


そして最後に、セレスティアは車を指差した。


「それと、この車は持って帰って」


「どちらへ?」


「お父様に差し上げますわ」


こうしてセレスティアは、新しいダンジョンだけではなく、騎士団の訓練施設まで手に入れた。


そしてアレンのダンジョンと新しいダンジョンは、マスタールームを通じて繋がることになった。


セレスティアが考えていた「ダンジョン間のワープ」。


その第一歩が、あっさり実現してしまったのだった。

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