ワープの有効活用
セレスティアはどのダンジョンを攻略しようか考えていた。
ダンジョンの仕組みを知った今、どのダンジョンでも発展させれる自信はある。
アレンのダンジョンで、セレスティアはダンジョンがどのように成長していくのかを知った。
ダンジョンポイントを集めれば、それを使って施設を作ることができる。
モンスターを増やすこともできる。
階層を増やすこともできる。
そして、ポイントを大量に集める方法もある。
他のダンジョンで同じことをやれば、間違いなくスタンビートが起きる。
ダンジョンに大量の物資を吸わせたり、騎士団を派遣して倒したモンスターの魔石を拾わなかったり。
冒険者が普通おこなわない行動だ。
普通なら、ダンジョンに大量のポイントが入れば、それだけダンジョンが活性化する。
そして、ダンジョンが許容量を超えて成長すれば、外へモンスターが溢れ出す。
スタンビートだ。
だからこそ、そんな方法を取る者はいない。
だが――。
「私がダンジョンを管理していれば、話は別ですわね」
セレスティアは気づいていた。
スタンビートを起こすほど大量のダンジョンポイントを集めても、それをそのままモンスターの増加などに使う必要はない。
自分でダンジョンを管理しているのだから、ポイントを発展のために使えばいい。
必要な施設を作る。
必要な階層を増やす。
ダンジョンそのものを強化する。
そうすれば、スタンビートを起こさずに大量のポイントをダンジョンの発展へ回せる。
「そう考えると、ダンジョンというものは面白いですわね」
アレンのダンジョンが特殊なのだと思っていた。
だが、仕組みを知ってしまえば、特殊なのはダンジョンではない。
アレンの使い方なのだ。
セレスティアなら、自分のダンジョンを自分の考えで発展させられる。
「どのダンジョンでも、十分に発展させられそうですわ」
そう考えながら、セレスティアは次に何をするべきかを考える。
二匹目のドジョウ。
アレンのダンジョンで成功したことを、そのまま別のダンジョンでもやってみる。
もちろん、それも悪くない。
だが、セレスティアが目をつけたのは、そこではなかった。
「ダンジョン間のワープ……」
セレスティアはその可能性を考える。
ダンジョンとダンジョンをワープで繋ぐ。
もしこれが自由に使えるようになれば、人の移動だけではない。
物資も一瞬で運べる。
領地で作ったものを別の場所へ運ぶ。
別の場所で手に入れたものを領地へ運ぶ。
商人にとって、これほど便利なものはない。
「これは物流革命になりますわね」
アレンのダンジョンランドがどれだけ発展しても、それとは別の価値がある。
しかし、セレスティアはすぐに問題にも気づいた。
「……国家を越えて行えば、国際問題になりかねませんわね」
ワープで国境を越えられるということは、商人だけでなく軍隊まで国境を越えられるということだ。
そんなものを他国と自由に繋げるわけにはいかない。
まずは自分の領地。
そして、自分の国の中だけで試す。
「まずは領地の屋敷に一番近いダンジョンを制圧しましょう」
そこなら問題はない。
自分の領地に近いダンジョンなら、管理もしやすい。
そこでダンジョンを発展させ、ワープを使ってアレンのダンジョンと繋ぐ。
うまくいけば、領地とアレンのダンジョンを直接繋げることができる。
セレスティアは、そこまで考えてからふと動きを止めた。
「……そういえば」
しばらく考える。
そして、非常に重要なことを思い出した。
「当分帰ってなかったわ」
自分の領地に。
ダンジョンを攻略することばかり考えていたが、そもそも領地へ帰ること自体が久しぶりだった。
「まずは帰りましょうか」
セレスティアはそう呟いた。
久しぶりの領地への帰還。
そして、その近くにあるダンジョン。
セレスティアの新しいダンジョン攻略が、始まろうとしていた。




