台本の打ち合わせ
クラリス、フローラ、セレスティアの三人は、お茶会をしていた。
テーブルには紅茶と菓子が並んでいる。
そして今日の話題は、先日のデートだった。
「お姉さまのおかげで、楽しいデートになりましたわ」
クラリスが嬉しそうに言う。
フローラが思わず聞き返した。
「あれが楽しかったの?」
「ええ。私、初めてのデートだったけど、またしたいわ」
「そうですか……」
フローラは複雑そうな顔をした。
セレスティアは優雅に紅茶を飲んでいる。
「私も体験してきました」
「お姉さまも?」
クラリスが驚く。
「ええ。台本を作った責任があるもの。自分でも体験しておく必要があるでしょう?」
「いくつか問題もありましたが、悪くなかったわね」
「問題?」
クラリスが首を傾げる。
フローラはすぐに答えた。
「一日のスケジュールがきつすぎます」
「ああ……」
クラリスも思い出したように頷く。
「確かに、予定が細かかったですわね」
「そうね」
セレスティアも反省するように頷いた。
「トイレの時間まで決めたのは失敗だったわ」
フローラの手が止まった。
「失敗って……」
そして、セレスティアを見る。
「まさか、お姉さま……」
「適切に処理したから、誰にも気づかれてないわ」
「何ですか?」
クラリスが二人を見る。
「……」
「……」
セレスティアは紅茶を一口飲んだ。
「この国の文化だから気にしないで」
「そんな文化ありましたっけ?」
クラリスが真顔で聞く。
「細かいことは気にしなくていいのよ」
「いや、気になりますわ」
フローラも困った顔をしていた。
セレスティアはそんな二人をよそに、台本を取り出した。
「それより、次の台本を考えてますわ」
「もう次ですか?」
フローラが嫌そうな顔をする。
「今度は町をめぐる台本よ」
「……」
フローラは台本を見る。
「台本の内容が初心者向けじゃなくて、上級者向けでしたわ」
「そうかしら?」
「そうですわ」
クラリスも台本を覗き込む。
「確かに、これは少し難しそうです」
「経験を積めば大丈夫よ」
「その前に――」
セレスティアはふと思いついたように言った。
「王妃様とリリアにも行ってきてもらおうかしら」
「王妃様もですか?」
クラリスが驚く。
フローラは少し考えた。
「リリア様は私と同じ空気になるから、やめた方がいいと思いますわ」
「そう?」
「たぶん、ものすごく疲れると思います」
「でも、お詫びに剣でもあげれば機嫌が直りますわ」
セレスティアがさらりと言う。
フローラは少し考えた。
「……リリア様なら、ありえそうですわ」
「でしょう?」
三人は顔を見合わせた。
次のデートについて話しているはずなのに、なぜか本人たちの意思はまったく確認されていない。
そして――
アレンの次のデートが誰と、どこで行われるのか。
それは、まだ決まっていなかった。




