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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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デートに台本

アレンとクラリスの手には、なぜか台本があった。


用意したのはセレスティアだ。


「……なんで俺たち、台本持ってるんだ?」


「お姉さまが用意してくださったそうです」


「だろうな」


アレンはため息をついた。


クラリスが台本の一ページ目を開く。


「一ページ目です」


「何て書いてある?」


クラリスは読み上げる。


「『手をつなぐ』」


「…………」


アレンは台本を覗き込む。


確かに、最初にそう書かれている。


「なんで一ページ目からそれなんだよ」


「デートだからでは?」


「そういうものなのか?」


クラリスは迷いなく手を差し出した。


「お姉さまを信じれば大丈夫です」


「……まあ、セレスティアが用意したんだからな」


アレンも諦めて手をつなぐ。


「俺、完全にセレスティアの部下みたいになってないか?」


「私もお姉さまの言うことなら大丈夫だと思っています」


「そこまで信頼してるのか……」


二人は手をつないだまま、ダンジョンランドへ向かった。


入口を抜ける。


「次はここですね」


クラリスが台本を確認する。


「本当に細かく書いてあるな」


「はい。次に行く場所まで全部決まっています」


二人は台本通りに施設を回っていく。


アトラクションに乗り、別の施設へ移動し、また次の施設へ。


アレンはそのたびに台本を見る。


「……セレスティア、どこまで決めてるんだ」


クラリスはむしろ楽しそうだった。


「次はカフェです」


「それくらいなら普通だな」


カフェに入り、食べ物と飲み物を注文する。


そして台本の次の項目を見たクラリスが首を傾げる。


「『アーンして食べさせる』と書いてあります」


「そこまで書くか?」


「台本通りにしましょう」


「……まあ、いいけど」


クラリスがアレンに食べさせる。


続いてアレンもクラリスに食べさせる。


「…………」


「…………」


「なんだこれ」


「デートです」


「そうだったな」


次の指示も待っていた。


「『ジュースにストローを二本さして飲む』」


「…………」


「やりましょう」


二人はジュースにストローを二本さして飲む。


完全にバカップルだった。


アレンは呆れた顔をしている。


一方のクラリスは楽しそうだった。


「クラリス、これ楽しいのか?」


「はい!」


即答だった。


「そうか……」


アレンにはよく分からなかった。


それでも台本通りにデートは進んでいく。


そして最後の方に、とんでもない指示があった。


「……『膝枕三十分』」


アレンは台本を見つめる。


「時間まで指定してるのかよ」


「三十分ですね」


「本当にやるのか?」


「もちろんです」


クラリスは迷わない。


結局、アレンは台本に従って三十分を過ごした。


「あと何分?」


「残り五分です」


「まだあるのか……」


「あと三分です」


「セレスティア、絶対楽しんでるだろ……」


やがて三十分が経過する。


台本に書かれた予定をすべて終え、ようやくデートは終了した。


アレンは大きく息を吐いた。


「……長かった」


クラリスは満足そうな顔をしている。


「楽しかったです」


「そうか」


クラリスは少し考えてから言った。


「毎週やりましょう」


「毎週?」


「はい」


クラリスは笑顔でそう言って帰っていった。


アレンはその後ろ姿を見送る。


そして、ぽつりと呟いた。


「……まじで楽しかったのか」


アレンには、最後までよく分からなかった。


ただ一つ分かったのは――。


セレスティアの台本に従った結果、クラリスにとってはかなり楽しいデートになっていたということだった。

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