クラリスの相談
セレスティアはクラリスから相談を受けていた。
場所はセレスティアの屋敷。
クラリスは少し言いにくそうにしながら、セレスティアに話しかける。
「お姉さま、少し相談があります」
「珍しいですわね。どうしましたの?」
「ダンジョンランドで会った執事のことが気になっているんです」
「……執事?」
セレスティアは少し考える。
そして、すぐに思い当たった。
「ああ、アレンのことですのね」
「はい」
クラリスは素直に頷いた。
「どこがいいのかしら」
「私にも分からないんですが……」
クラリスは少し考えてから続ける。
「今まで会った誰よりも魅力的でした」
「…………」
セレスティアは少し黙った。
「あなた、かなり気に入っているのね」
「そうかもしれません」
「でも、あいつがね……」
セレスティアは少し呆れたように呟く。
「お姉さまもそう思いますか?」
「ええ。まあ、悪い男ではありませんわ」
セレスティアは少し考える。
そして、何でもないことのように言った。
「私も狙っているんだけどな」
「えっ?」
クラリスが目を丸くする。
「お姉さまもですか?」
「ええ」
セレスティアは平然としていた。
「駒としてだけど」
「…………」
クラリスは何とも言えない顔になった。
「それは……狙っていると言うのでしょうか?」
「私にとっては十分狙っているうちですわ」
「そうですか……」
クラリスは少し考えた。
そして、意を決したように口を開く。
「また会わせてもらえませんか?」
「いいわ」
あまりにも即答だった。
「デートしてきなさい」
「えっ」
クラリスが固まる。
「まだそこまでじゃないんですが……」
「大丈夫ですわ。まずは一緒に出掛けてみればいいのよ」
「でも……」
「問題ありませんわ」
セレスティアは笑った。
「私が許可しますもの」
「……はい」
こうして。
クラリスがアレンに相談するより先に、二人の間で話は決まってしまった。
もちろん、そのことをアレンは知らない。
そして後日。
マスタールームにいたアレンのところへ、セレスティアがやってきた。
「アレン」
「なんだ?」
「クラリスとデートしてきなさい」
「…………は?」
アレンはしばらくセレスティアを見る。
「なんで?」
「クラリスがあなたとまた会いたいそうですわ」
「そうなのか?」
「ええ」
「まあ……別にいいけど」
アレンは少し考える。
特に困ることはない。
ダンジョンの仕事が増えるわけでもない。
ポイントを使うわけでもない。
断る理由もなかった。
「デメリットがないならいいよ」
「決まりですわね」
セレスティアは満足そうに頷いた。
アレンも頷く。
「じゃあ、どこに行くか考えるか」
「その必要はありませんわ」
「え?」
「私が予定を決めておきますもの」
「……そうなの?」
「ええ」
アレンは何となく嫌な予感がした。
しかし、断る理由もなかった。
「分かった」
「では、よろしくお願いしますわ」
そう言ってセレスティアは去っていった。
一人残されたアレンは首を傾げる。
「……なんで俺、デートの予定までセレスティアに決めてもらってるんだ?」
答えは簡単だった。
本人が気づいていないだけで。
アレンはもう完全に、セレスティアの部下だった。




