Bランク冒険者量産
今日もアレンのそばにはセレスティアがいた。
「……なんか隣にいるのが普通になってきたな」
「このマスタールームは興味深いですわ」
セレスティアは今日も当然のようにアレンの隣に座っている。
最初の頃は珍しそうに部屋を眺めていたが、今ではモニターの使い方までだいぶ理解している。
「だいぶ仕組みを理解したね」
「ええ。最初は分からないことばかりでしたけれど、最近はかなり分かるようになりましたわ」
アレンはモニターへ視線を向ける。
そこには、今日もダンジョンを攻略している冒険者たちが映っていた。
「そういえば、あれからリリアはメンバーを変えて大量のBランク冒険者を生み出してるんだけど」
「そうですわね」
「Bランクの実力があるのはリリアだけじゃないか?」
「ギルドの認定基準に文句を言っても仕方ないわ」
「まあ、それはそうだけど」
アレンは苦笑する。
「しかもリリアだけ冒険者登録してないし」
「リリアは貴族、しかも長女よ」
セレスティアは当然のように答える。
「冒険者になるわけがないわ」
「やってることは冒険者だぞ」
「そうですわね」
「しかも休みなしの、かなりブラック」
「本人が楽しそうだからいいじゃない」
「まあ、本人がいいならいいか」
モニターの中では、リリアが次の攻略に向けて騎士たちを集めていた。
三十七階層を突破して終わりではない。
むしろ、そこから勢いがついている。
「それより」
セレスティアが突然、別の話を始めた。
「私の家の風呂場は見れないのに、クラリスの家の風呂場はモニターに映るわよ」
「どうしてかな?」
「わからないな?」
アレンはモニターを確認する。
確かに、設定上はセレスティアの家の風呂場は映らない。
「私は王妃様とフローラしか許可してないわ」
「そうだったね」
「クラリスの家まで映るのは、仕様に問題があるのかもしれませんわね」
「かもな」
「でも大丈夫。悪用してないから」
「今更だからいいわ」
セレスティアはそう言って、特に気にしていない様子だった。
「芸術作品としてしかみてないから大丈夫だよ」
「…………………………」
アレンの言葉が止まった。
セレスティアも黙っている。
「…………」
「…………」
アレンは自分の発言を頭の中でもう一度思い返した。
――なんでそんなことを言った。
セレスティアがゆっくりとアレンを見る。
「…………」
アレンは視線を逸らした。
完全に余計な一言だった。
「……俺、今のは忘れてくれ」
セレスティアは何も答えなかった。
ただ、笑っている。
アレンは悟った。
――また自爆した。




