顔合わせ
三人はダンジョンランドのエステを利用していた。
王妃様、セレスティア、フローラ。
三人が揃ってエステを利用していると知ったアレンは、ふと思った。
間近で三人を見てみたい。
そう思ったアレンは、ダンジョンランドへ向かった。
エステに到着すると、入口には案内係が立っていた。
「申し訳ありません。本日は貴族の日となっております」
「貴族の日?」
「はい。本日は貴族の方のみご利用いただけます」
アレンは入口の前で立ち止まった。
自分は貴族ではない。
つまり、今日はエステに入ることができない。
「……そうか」
せっかく来たのに。
アレンは少し考えた。
そして、別の方法を思いついた。
三人を呼び出せばいい。
アレンはダンジョンコアに指示を出した。
三人をボス部屋へ呼んでくれ。
しばらくすると、三人がボス部屋へやってきた。
アレンはドッペルゲンガーをメイド姿にすると、自分は執事の格好をする。
今日はダンジョンマスターの代役だ。
「本日はお越しいただき、ありがとうございます」
アレンが頭を下げる。
三人が席につく。
やがて紅茶と菓子が運ばれてきた。
セレスティアがアレンを見る。
「ところで、私たちが呼ばれた理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんです」
アレンは答えた。
「今回お呼びしたのは、次代の王妃と縁を作っておくことが目的です」
「次代の王妃……ですか?」
セレスティアが尋ねる。
「はい。現在の王妃様とはすでに良い関係を築いております。ですが、王妃が代われば、また一から関係を築く必要がありますから」
「なるほど」
セレスティアは頷いた。
「それで私を?」
「その通りです」
アレンはそれ以上余計なことを言わず、話題を変えた。
「ところで、ダンジョンランドは楽しんでいただけていますか?」
王妃様が笑顔で答える。
「ええ。エステも素晴らしいですし、ジェットコースターや観覧車も楽しませてもらっています」
「私はジェットコースターが気に入りましたわ」
フローラも楽しそうに話す。
「最初は少し怖かったのですが、もう一度乗ってみたくなりました」
「観覧車からの景色も素晴らしかったですね」
王妃様が続ける。
「ダンジョンの中に、あのような施設を作ろうと思った理由は何なのでしょう?」
「冒険者が戦うだけの場所にする必要はないと思ったからです」
アレンは答えた。
「せっかく大勢の人が来るなら、楽しめる場所があったほうがいいでしょう」
「なるほど」
「他にも色々と施設がありますし、これからも利用者が増えれば必要なものは増やしていくつもりです」
「まだ増えるのですか?」
セレスティアが尋ねる。
「需要があれば」
アレンはあっさり答えた。
「随分と簡単におっしゃいますね」
セレスティアが笑う。
「作るだけなら、そこまで難しくありませんから」
「それが一番凄いところなのでは?」
「……そうかもしれません」
そんな話をしながら、お茶会は和やかに続いていった。
三人がダンジョンランドについて話し、アレンがそれに答える。
気がつけば、かなりの時間が経っていた。
やがて、お茶会も終わり、三人が帰る時間になった。
王妃様とフローラが先に部屋を出ていく。
セレスティアも続いて部屋を出ようとした。
だが、扉の前で足を止める。
そしてアレンのほうを振り返った。
「それでは、次は二人で会いましょう」
アレンは黙ってセレスティアを見る。
セレスティアは微笑んだ。
「ダンジョンマスター様」
そう言って、セレスティアは部屋を出ていった。
扉が閉まる。
アレンはしばらく黙っていた。
「……ばれてる」
どうやら、セレスティアには最初から気づかれていたらしい。




