ゴブリンリーダー以下
なぜか他のダンジョンの情報を仕入れようとしていたのに、気がつけばダンジョンの潰し方講座になっていた。
アレンは改めてダンジョンコアに向き直った。
「今度こそ、他のダンジョンの情報をもらおう」
『分かりました』
他のダンジョン同士に交流はないらしい。
それでも、人間がダンジョンにつけた評価であれば、ある程度の情報は分かるという。
「人間がつけた評価って、どんな感じなんだ?」
『Sランクダンジョンが7』
「7か」
『Aランクダンジョンが15』
『Bランクダンジョンが30』
『Cランクダンジョンが60』
『Dランク以下はたくさんあります』
「なるほどな」
Sランクになると一気に数が少なくなる。
そこからA、B、Cとランクが下がるにつれて数が増えていき、D以下になると数え切れないほどあるらしい。
アレンは他のダンジョンがどんな運営をしているのか、少し興味が湧いてきた。
「何か気になることでもありましたか?」
ダンジョンコアが尋ねてくる。
「自分のダンジョンが普通じゃないから、他のダンジョンの運営はどうなのかと思って」
「普通じゃないのに自覚あったんですね」
「……そりゃ自覚くらいあるよ」
アレンは少しだけムッとした。
自分のダンジョンが普通のダンジョンと違うことくらい、さすがに分かっている。
「それで、他のダンジョンはどうやって運営してるんだ?」
『他のダンジョンは、ポイントを階層を深くするのにまず使います』
「階層を深くするのが最初なのか」
『はい』
「次は?」
『次にモンスターです』
「モンスターか」
『はい』
アレンのダンジョンでは、冒険者に長く滞在してもらうことも重要だった。
しかし、他のダンジョンは違うらしい。
『滞在ポイントは期待していません』
「滞在ポイントは期待しないのか」
『戦闘ダメージや死亡で入るポイントを狙います』
「なるほど……」
冒険者をダンジョンに長く滞在させるのではなく、戦わせる。
そしてダメージを受けたり、冒険者が倒されたりすることで得られるポイントを狙う。
「真逆の運用だね」
『はい』
「そもそも知能の高いマスターは少ないです」
「そうなのか」
アレンは少し考えた。
自分以外のダンジョンマスターが、どんな存在なのか気になってくる。
「俺が来る前のダンジョンマスターは?」
『ゴブリンリーダーです』
「ゴブリンリーダー?」
アレンは思わず聞き返した。
自分がダンジョンマスターになる前、このダンジョンを管理していたのはゴブリンリーダーだったらしい。
『マスターは人間でGランクなので、召喚ポイントはゴブリンリーダー以下です』
「……」
アレンは黙った。
「俺、ゴブリンリーダー以下なの?」
『はい』
「…………」
アレンの顔が引きつった。
自分が人間であることは分かっている。
Gランクであることも分かっている。
だが、以前のマスターだったゴブリンリーダーより召喚ポイントが低い。
その事実を改めて聞かされると、なんとも言えない気持ちになる。
「俺が……ゴブリンリーダー以下……」
アレンは拳を握った。
「……なんか腹立ってきた」
アレンは目の前のダンジョンコアを見る。
そして、先ほど聞いた話を思い出した。
ダンジョンポイントをマイナスにすれば、ダンジョンは縮小して消える。
「……いっそのこと、ダンジョンコアを潰してダンジョンごと消滅させてやろうか」
『……』
ダンジョンコアは沈黙した。
自分が、ゴブリンリーダーより格下扱いされたことに腹を立てて、ダンジョンそのものを消滅させそうになる。
「……いや、やめよう」
アレンは少しして冷静になった。
せっかくここまで大きくしたダンジョンを、そんな理由で消すのはさすがにもったいない。
「でも、ゴブリンリーダー以下っていうのは納得いかないな……」
アレンはしばらく不満そうな顔をしていた。




