理論上最強
アレンはクロノスを眺めながら考えていた。
「……名前を付けるとネームドになって、一ランク上がるのか」
それなら――
アレンの頭の中に、新しい考えが浮かんだ。
「最初から最強のモンスターを作って、さらに名前を付けたらどうなるんだ?」
アレンは懲りていなかった。
さっそくダンジョンのモンスター設定を確認する。
「普通のモンスターならAランクくらいか」
そしてドラゴン。
最強クラスのドラゴンなら、その種族の時点でAランク。
さらにカラードラゴンなら――
「SSランク」
その上の古竜クラスなら――
「SSSランク」
そしてネームドになれば、一ランク上がる。
「つまり……」
アレンは考える。
古竜クラスのドラゴンを作る。
ランクはSSS。
そこに名前を付ければ、一ランク上。
「Exランク……」
クロノスと同じだ。
だが、アレンはさらに考えた。
「いや、まだいけるだろ」
アレンは名前を考え始める。
超ミラクル。
スーパー。
ウルトラ。
アルティメット。
エンシェントドラゴン。
「……これだ」
アレンの中では、どんどん最強になっていく。
最強クラスのドラゴン。
カラードラゴン。
古竜。
そしてネームド。
そこからさらに名前で盛っていく。
「超ミラクル・スーパー・ウルトラ・アルティメット・エンシェントドラゴン!」
アレンは満足そうに頷いた。
「完璧だ」
もはや最強という言葉では足りない。
「これに名前を付けたら……」
アレンはふと我に返った。
「俺、神にでも挑むつもりなのか?」
さすがにやりすぎだ。
クロノスですらExランクになった。
それよりさらに上を作ったら、一体何になるのか。
アレンは少しだけ悩んだ。
「……まあ、作ってみるか」
アレンはモンスター作成画面を操作する。
種族を選択する。
強さを設定する。
そして――
「…………」
何度操作しても、目的のモンスターは作成できなかった。
「ん?」
アレンはもう一度試す。
やはり駄目だった。
設定できる範囲を超えているらしい。
「実現しないのか」
アレンは画面を見ながら呟いた。
どうやらダンジョンのシステムにも限界があるらしい。
「まあ、そうだよな」
アレンは諦めた。
「これが作れたら、本当に神と戦うことになりそうだし」
結局、超ミラクル・スーパー・ウルトラ・アルティメット・エンシェントドラゴンは実現しなかった。
アレンはクロノスを見る。
「お前くらいでちょうどいいのかもしれないな」
Exランク。
それでも十分すぎるほど規格外だ。
アレンはもう一度、モンスター作成画面を見る。
「……名前で強くなるって分かっただけでも収穫だったな」
そして、しばらく考えた後。
「でも、もう名前を付けるのはやめておこう」
アレンはそう決めた。
もっとも――
その決意がいつまで続くのかは、誰にも分からなかった。




