オークション
アレンはダンジョンランドやパチンコなどの施設で得た収入を使って、冒険者から魔石を買い取っていた。
ダンジョンを成長させるためには魔石が必要になる。
冒険者が増え、魔石の消費量も増えていくにつれて、アレンが買い取るために必要なお金もどんどん増えていた。
「……お金が足りなくなってきたな」
ダンジョンランドやパチンコからの収入は決して少なくない。
それでも魔石の買い取りに使う金額が大きくなれば、手元に残るお金は減っていく。
アレンは少し考えた。
そして、ふと気づく。
「魔石を買い取ったお金って、結局冒険者が持ってるんだよな」
魔石を売った冒険者たちは、そのお金でダンジョン内の施設を利用したり、買い物をしたりしている。
つまりアレンが渡したお金が、冒険者たちの手元に戻っている。
「だったら……冒険者から回収すればいいか」
アレンはあっさりと結論を出した。
金策のためにオークションを開くことにした。
「目玉は魔法剣とエリクサーだな。それと自転車や時計、ダンジョン内だけで使える家電も出すか」
普段は手に入らない品を並べれば、欲しがる者は多いはずだ。
特に魔法剣とエリクサーは、この世界では簡単に手に入るものではない。
オークション当日。
会場には冒険者だけではなく、商人や貴族まで集まっていた。
最初に登場したのは自転車だった。
「こちら、自転車です!」
会場に自転車が運び込まれる。
見たことのない者たちは興味深そうに眺め、すでに使ったことのある者たちは身を乗り出した。
「開始価格は十五枚!」
「十八枚!」
「二十枚!」
声が次々に飛ぶ。
「二十枚!」
そこで競りが止まった。
「二十枚、二十枚でよろしいですか? それでは――落札!」
自転車は二十枚で落札された。
「二十枚か」
アレンは少し満足そうに頷いた。
次に出されたのは時計だった。
こちらは自転車よりも明らかに反応が大きかった。
「開始価格は七十枚!」
「八十!」
「九十!」
「百!」
一気に百枚まで上がる。
「百枚!」
「他にはありませんか?」
会場を見渡す。
「……百枚で!」
「百枚、落札です!」
時計は百枚で落札された。
アレンは心の中で頷く。
自転車より時計のほうが高くなる。
予想通りだった。
続いて家電が登場する。
冷蔵庫、洗濯機、炊飯器など、ダンジョン内でしか使えない品々だ。
「こちらは六十枚から!」
「七十!」
「八十!」
「百!」
「百十!」
最終的に百十枚で落札される。
別の家電も五十枚から始まり、七十、九十、百二十と競り上がった。
「百二十枚!」
「百二十枚、落札!」
家電は品物によって五十枚から百二十枚ほどで売れていった。
そして、会場の空気が変わる。
次に運び込まれたのは魔法剣だった。
「こちらは魔法剣です」
その言葉だけで会場が静まり返る。
魔法剣は、この世界では非常に価値が高い。
「開始価格、二千五百枚!」
「二千七百!」
「二千八百!」
「二千九百!」
「三千!」
「三千枚!」
二人の男が競り合っていたが、片方が三千枚を提示したところで、もう一人が黙った。
「三千枚、他にはありませんか?」
会場を見渡す。
誰も声を上げない。
「では、三千枚で落札!」
魔法剣が三千枚で売れた。
アレンはその金額を確認して、思わず笑みを浮かべた。
「これはかなり効くな」
そして最後に登場したのはエリクサーだった。
会場からざわめきが起こる。
「最後の商品、エリクサーです!」
今までとは比べものにならないほど、会場の視線が集中する。
「開始価格、八千枚!」
「八千五百!」
「九千!」
「九千五百!」
「一万!」
「一万枚!」
そこから先、声は続かなかった。
「一万枚、他にはありませんか?」
しばらく待っても誰も声を上げない。
「では、一万枚で落札!」
エリクサーは一万枚で落札された。
オークションが終わる頃には、かなりの金額が集まっていた。
アレンは集計された金額を確認する。
「これなら魔石の買い取り資金は十分確保できたな」
魔石を買うために冒険者へ渡したお金。
そのお金を、今度はオークションで冒険者や商人、貴族から回収する。
アレンにとっては非常に都合のいい仕組みだった。
「これ、使えるな」
一度うまくいくと、アレンはすっかり味を占めた。
魔石を買い取ってお金が足りなくなる。
するとオークションを開く。
珍しい品を出品すれば、人が集まる。
そして必要な資金が集まる。
「お金が足りなくなったら、またオークションを開けばいいか」
こうしてアレンは、資金が不足するたびにオークションを開催するようになった。




