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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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商人の生活

朝、トーマスは店の扉を開けた。


「さて、今日も始めるか」


店の中を見回す。


昨日のうちに売れた商品を確認し、棚の空いた場所に新しい商品を並べていく。


この町で商売を始めた頃と比べると、扱う商品はずいぶん変わった。


最初は冒険者向けの道具や保存食が中心だった。


しかし、町に住む人が増えるにつれて、売れるものも変わってきた。


今では日用品から家具、食料、菓子まで、様々な商品を扱っている。


「これ、昨日入ったやつか?」


店の前で客が商品を手に取る。


「そうだ。新しくできた木工所の商品だ」


「へえ、前より種類が増えたな」


「職人が増えたからな」


木工所ができたばかりの頃は、家具を作れる職人も少なかった。


今では複数の工房があり、それぞれ違った商品を作っている。


同じ町の中で競争まで始まっているのだから、商人としてはありがたい。


「こっちの机も売れそうだな」


トーマスは新しく入った家具を眺める。


町が大きくなると、家具の需要も増える。


新しく家を建てる人がいれば家具が必要になる。


店を開く人が増えれば、店に置く棚や机が必要になる。


人が増えるだけで、商売の種類まで増えていく。


昼前になると、店に客が増えてきた。


「トーマス、お菓子ある?」


「あるぞ」


「この前食べたやつが欲しい」


「それならこっちだ」


トーマスは棚から菓子を取り出す。


この菓子も、最初はダンジョンから出てきた珍しいものだった。


当時は誰も作り方が分からず、手に入るだけで喜ばれていた。


ところが、職人たちが研究を始めた。


何度も作り直し、材料を変え、味を調整する。


その結果、今ではこの町の職人が似た菓子を作れるようになった。


「最近は種類まで増えたよな」


客が棚を眺めながら言う。


「ダンジョンから出てきたものを真似してるうちに、職人が新しいものまで作り始めたからな」


「最初からそうすればよかったんじゃないか?」


「それができたら苦労しないだろ」


二人で笑う。


昼を過ぎると、今度は別の商人が店を訪れた。


「トーマス、例の家具はまだあるか?」


「あるぞ。どうした?」


「外の町から注文が来てる。ここの家具を欲しがってる客が増えたんだ」


「外でも売れるようになったのか」


「最初は珍しいから欲しいって話だったんだが、評判がいいらしい」


トーマスは少し考える。


この町は、物を買う場所だけではなくなっている。


作られた商品が町の中で消費されるだけではない。


外へ売られる商品も増えてきた。


ダンジョンを中心に人が集まり、町ができ、仕事が生まれた。


そして今では、この町で作られた物を目当てに外から商人がやって来る。


「ずいぶん大きくなったな」


トーマスは店の外を眺めた。


通りを人が歩いている。


昔は冒険者ばかりだった道に、今では住民や職人、商人が普通に行き交っている。


店を閉める頃には、棚の商品もかなり減っていた。


トーマスは帳簿を開き、今日の売上を確認する。


「悪くない」


以前なら、売れる商品を探すことだけで精一杯だった。


今では何が売れるのかを考え、新しく作られた商品を仕入れ、さらに外へ売ることまで考えている。


商売のやり方そのものが変わっていた。


帳簿を閉じ、トーマスは店の外へ出る。


「明日は家具をもう少し仕入れるか。菓子も増やしておこう」


明日の商売のことを考えながら、家へ向かう。


ダンジョンの町で商売を始めた頃には、こんな日が来るとは思っていなかった。


けれど今では、ここで商売をすることが当たり前になっている。


「さて、明日も忙しくなりそうだ」


トーマスはそう呟いて、家へ帰っていった。

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