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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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ダンジョンの原点

ガチャ廃止とダンジョンの原点


 アレンは、ついにガチャを全て廃止した。


 最初はインゴットガチャから始まり、少しずつラインナップを減らしてきた。


 そして最後に残っていたガチャも、今日をもって全て終了した。


 ガチャを目当てにダンジョンへ来ていた冒険者もいた。


 しかし、ガチャがなくなったからといって、冒険者が一気にいなくなることはなかった。


 冒険者は魔物を倒し、魔石を手に入れ、それを売って収入を得る。


 本来のダンジョンとは、そういう場所だった。


「結局、元に戻っただけか」


 アレンはマスタールームからダンジョンの様子を眺めながら呟いた。


 冒険者たちは今日も魔物を倒している。


 魔石を拾い、鉱山で鉱石を掘り、必要なら深い階層へ挑戦する。


 ガチャがなくなっても、住民も減らなかった。


 町には人が残り、商売も続いている。


 それを確認したアレンは、ようやく胸を撫で下ろした。


「よかった……」


 ガチャをなくしたら人が減るのではないか。


 それだけが少し心配だったのだ。


 だが、実際には大きな変化は起きなかった。


 考えてみれば、今のダンジョンにはガチャ以外にも、人が残る理由がいくらでもある。


 一階層には大きな町がある。


 森があり、海があり、畑があり、畜産エリアもある。


 冒険者だけでなく、木こり、木工職人、漁師、船大工、農家、商人など、様々な人間が暮らしている。


 そして、もう一つ。


「宝くじ箱もあるしな」


 アレンが視線を向けた先には、冒険者たちが集まる宝くじ箱があった。


 宝くじ箱は、もはやダンジョンの名物になっている。


 冒険者にとっては夢を叶える可能性を秘めた場所であり、国にとっても重要な存在になっていた。


 宝くじ箱に魔石が使われることで、ダンジョン内だけではなく、国内の魔石の価格安定にも寄与している。


 ガチャとは違う。


 宝くじ箱は今も役割を持っている。


「これは残すか」


 アレンは迷わず残すことにした。


 冒険者の夢を叶えるという意味でも、魔石の需要を維持するという意味でも、まだ必要だった。


 こうしてガチャを全て廃止したことで、ダンジョンの特徴はかなり少なくなった。


 一階層にある巨大な町。


 そして、冒険者たちの夢を叶える宝くじ箱。


 それ以外は、魔物がいて、冒険者が魔石を求めて戦う。


 鉱山では鉱石が採れ、森では木材が手に入り、海では魚が獲れる。


 畑では作物が育ち、畜産エリアでは家畜が育てられている。


 気がつけば、かなり普通のダンジョンになっていた。


 アレンはその光景をしばらく眺めていた。


「……これでいいんじゃないか?」


 ふと、そんな考えが浮かんだ。


 今までのアレンは、何か足りないと思えば新しいものを作った。


 ガチャを置いた。


 日本の商品を持ち込んだ。


 新しい階層を作った。


 町を作った。


 森を作った。


 海を作った。


 畑や畜産エリアまで作った。


 問題が起きれば、また新しい仕組みを考えた。


 そして、そのたびにダンジョンは大きく変わっていった。


 だが、今はどうだ。


 ガチャをなくしても、何も問題は起きなかった。


 冒険者は冒険者として活動している。


 住民は住民として暮らしている。


 町は町として機能している。


 魔石も必要とされている。


 宝くじ箱も、まだ役割を持っている。


「俺は今まで、何か特別なことをしないとダンジョンじゃないと思ってたのかもしれないな」


 アレンは自分のやってきたことを振り返った。


 奇抜なことを考えて、面白そうなら実行する。


 問題が起きれば、さらに奇抜な方法で解決する。


 そんなことを繰り返してきた。


 もちろん、それでダンジョンが発展したのも事実だ。


 人も増えた。


 町も大きくなった。


 国にまで影響を与える存在になった。


 それでも――。


「普通のダンジョンであることに、特別な理由なんていらないのかもしれないな」


 アレンはそう呟いた。


 魔物がいて、冒険者がいて、魔石が採れる。


 それだけでもダンジョンは成り立つ。


 無理に奇抜な仕掛けを作らなくても、人は自分たちで生活を作っていく。


 ガチャをなくしたことで、それがよく分かった。


 アレンはマスタールームの椅子に深く座り直した。


「……まあ、普通になったなら、しばらく普通でいいか」


 そう言いながら、アレンはダンジョンの様子を眺め続けた。


 今まで散々奇抜なことをやってきたのだから、少しくらい普通のダンジョンをやってみてもいい。


 そんなことを思うアレンだった。

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