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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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インフレ

アレンは、最近ずっとインフレへの対応に追われていた。


ダンジョンは発展した。


森ができた。


海もできた。


畑もある。


畜産もできる。


鉱山では鉄や銅だけでなく、合金まで採掘できる。


娯楽施設も揃っている。


住民はダンジョンの中で生活に必要なものをほとんど手に入れられるようになっていた。


問題は、そこに外部から大量の金貨が流れ込んでいることだった。


ダンジョンで作られた商品が外へ売られる。


外から商人が金貨を持ってくる。


その金貨がダンジョン内に残る。


さらにダンジョンで働く人間が増えれば、給料として金貨が支払われる。


町の中で金が回るようになった。


最初のうちは、それでよかった。


だが、アレンは次第に違和感を覚えるようになった。


「……金が多すぎないか?」


住民の手元に金が貯まっていく。


店も儲かる。


商人も儲かる。


土地の価値も上がっていく。


物が足りなくなれば値段が上がる。


まさにインフレだった。


「なんかもう、何のゲームだったのか分からなくなってきたな」


最初はダンジョン運営だった。


冒険者に魔物を倒させ、魔石を集め、ポイントを稼ぐ。


それがいつの間にか町ができた。


商売が始まった。


農業が始まった。


漁業まで始まった。


そして今は、ダンジョン内の経済を調整している。


アレンは頭を抱えた。


金貨を回収すること自体は難しくない。


ダンジョンが商品を売らなければいい。


施設の料金を上げてもいい。


税金のような仕組みを作ることもできる。


だが、それでは根本的な解決にはならない。


「金貨を回収するだけじゃ駄目だな」


アレンは考えた。


金貨が増えすぎているなら、使わせればいい。


だが、もっと重要なのは別のことだった。


この世界から金貨そのものを消してしまうのはまずい。


金貨はこの世界の経済を支えている。


ダンジョンだけが大量の金貨を吸い上げてしまえば、今度は外の世界で金貨が不足する。


それでは本末転倒だ。


「じゃあ、ダンジョンの中から外に金を出せばいい」


問題は、何を買わせるかだった。


ダンジョンの中で作れるものを外から買っても意味がない。


鉄もある。


銅もある。


食料もある。


木材もある。


魚もある。


家畜もいる。


生活に必要なものは、ほとんどダンジョン内で揃ってしまう。


アレンは考え続けた。


「外から輸入する必要があるものを残さないといけないな」


しかも、一度買えば終わりというものではない。


できれば毎月必要になるもの。


使えばなくなるもの。


そして、多少高くても買いたくなるもの。


「消耗品か……」


アレンはそこで思いついた。


嗜好品だ。


酒や珍しい飲み物、菓子など。


ダンジョン内で作れるようにしてしまえば、また同じ問題になる。


ならば、最初から全部をダンジョン内で供給しなければいい。


アレンはガチャの景品を確認した。


「これと、これと……」


嗜好品の一部を景品から外す。


さらにポーション類も減らしていく。


ポーションは冒険者にとって必要なものだ。


だが、ダンジョン内で無制限に手に入る必要はない。


「ポーションは外から買ってもらおう」


これで冒険者や住民は、定期的に外部から商品を仕入れることになる。


酒を飲めばなくなる。


菓子を食べればなくなる。


ポーションを使えばなくなる。


また必要になる。


また買う。


そのたびにダンジョン内の金貨が外へ流れていく。


アレンは少しずつ仕組みを変えていった。


ダンジョン内ですべてを完結させない。


外の世界から買うものを残す。


それによって、ダンジョン内に溜まり続けていた金貨を外へ流す。


「これなら金が余り続けるのを少しは抑えられるな」


アレンはようやく一息ついた。


しかし、ふと考える。


「……俺、ダンジョンを運営してるんだよな?」


魔物を配置する。


冒険者を呼ぶ。


ポイントを稼ぐ。


そんな単純なものだったはずだ。


それが今では、魔石の価格を調整し、施設の料金を決め、輸出入まで考えている。


「もう完全に経営ゲームだな」


アレンは苦笑した。


しかも、ゲームならリセットできる。


だが、ここに住んでいる人間たちの生活はリセットできない。


だからこそ、アレンはこれからもダンジョンの経済を考え続けるしかなかった。

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