インゴットガチャの廃止
アレンは、まずインゴットガチャを廃止することにした。
鉄や銅などのインゴットがガチャから出てくる必要は、もうない。
すでにダンジョンには鉱山がある。
「掘れるなら、わざわざガチャで出す必要ないよな」
そう考えたのだ。
鉱山では鉄や銅だけではなく、合金まで掘ることができる。
「……合金まで掘れるのはどうなんだ?」
アレンは少しだけ考えた。
普通なら、鉱石から金属を取り出して、それを加工して合金を作るものだ。
それなのに、ダンジョンでは合金そのものが採掘できる。
「まあ、ダンジョンだしな」
深く考えるのをやめた。
そしてインゴットガチャを廃止した。
だが、ここでアレンは別の問題に気づいた。
ガチャを廃止すると、魔石の価値が暴落する可能性がある。
ガチャを回すためには魔石が必要だった。
冒険者たちは魔石を集め、それをガチャに使っていた。
ガチャがなくなれば、その需要も消える。
魔石が大量に余れば、当然ながら価値は下がる。
「それは困るな」
魔石はダンジョンにとって重要な資源だ。
冒険者が持ち込む魔石をポイントに変換する仕組みもある。
魔石の価値が下がれば、ダンジョンにとっても都合が悪い。
そこでアレンは、新しい方法を考えた。
魔石を無制限で買い取る機械を設置した。
魔石を入れれば、その場でお金が出てくる。
買い取り上限はない。
いくら持ってきても買い取る。
「これなら魔石が余っても大丈夫だろ」
ただし、アレンはそのためにお金を用意しなければならない。
今まではガチャが魔石を消費していた。
しかしガチャを廃止するなら、別の方法で魔石を集める必要がある。
そこで、これまで無料だった施設にも料金を設定することにした。
エステ。
映画館。
ダンジョンランド。
その他にも、ダンジョン内に作られている娯楽施設を有料化していく。
利用者から集めたお金は、そのまま魔石の買い取り資金に回す。
つまり、
施設で遊ぶ。
↓
お金を払う。
↓
アレンがそのお金で魔石を買い取る。
↓
冒険者は魔石を売ってお金を得る。
↓
また施設で遊ぶ。
そんな循環を作ろうとしていた。
アレンは仕組みを確認する。
「これならガチャをなくしても、魔石の価値は維持できるな」
ガチャを廃止するだけなら簡単だった。
だが、ガチャを廃止した後のことまで考えると、そう簡単ではない。
魔石の需要を別の形で作らなければならない。
そして、そのためにはダンジョン自身が金を稼ぐ必要があった。
アレンは改めて思った。
「ガチャをなくすのって、結構大変なんだな」
ただ珍しい商品を出す仕組みをなくすだけ。
最初はそう思っていた。
しかし実際には、ダンジョンの経済そのものを変える必要がある。
アレンは魔石買い取り機を眺める。
これからは、ダンジョンの施設で稼いだお金を使って、魔石を買い取っていく。
ガチャを廃止するために、アレンは自分のダンジョンで金を稼ぐ必要に迫られていた。




