アレンの聖女の感想
ダンジョンから戻った勇者は、そのまま教会へ向かった。
今回のダンジョンでの出来事を教会に報告するためだ。
教会では、勇者が戻ってきたことを知った関係者が集まり、報告を聞くことになった。
勇者は50階層のボスを倒したこと、その後、Sランクパーティーとともに60階層へ向かい、聖女がSランクパーティーに加わってケルベロスを討伐したことを話した。
話を聞いた教会側も、新しい聖女の力について改めて確認することになった。
今回の戦いでは、聖女は自分から前に出て戦ったわけではない。
仲間にバフをかけ、結界で攻撃を防ぎ、傷を負えば回復する。
それだけでSランクパーティーの戦力を大きく引き上げ、ケルベロスを討伐させた。
勇者はその結果を踏まえ、教会に自分の考えを伝える。
「もし勇者パーティーを再結成することになっても、先代の聖女は不要だ」
勇者がそう言うと、教会の者たちは顔を見合わせた。
先代の聖女の力が必要ないという意味ではない。
すでに十分な後継者がいるということだ。
今回一緒にダンジョンへ行った新しい聖女は、勇者の目から見ても十分な力を持っていた。
聖女の後継者については問題ない。
むしろ、問題なのは勇者の後継者のほうだ。
勇者候補たちは、いまだに50階層を抜けられていない。
50階層のボスはAランク。
勇者候補たちが強くなっているとはいえ、まだ誰一人としてその壁を越えられていない。
しかも、50階層を抜ければ、それですべてが決まるわけでもない。
仮に50階層を突破したとしても、その人物が勇者に指名されるかどうかは分からない。
勇者候補は一人ではない。
誰が次の勇者に選ばれるのか、それはまだ決まっていない。
そもそも、今いる勇者候補の中から本当に次の勇者が現れるのかすら分からない。
勇者の後継者が決まらなければ、勇者は正式に引退することもできない。
先代の聖女については、すでに後継者がいる。
新しい聖女が十分な力を持っていることも、今回のダンジョンで確認できた。
だからこそ、教会にとっては勇者の後継者の問題が残っていた。
一方、その頃アレンも新しい聖女について考えていた。
ダンジョンでの戦いを見て、アレンは新しい聖女の実力を改めて確認していた。
先代の聖女に劣らない。
力だけではない。
仲間を強化し、結界で守り、必要なときには回復する。
自分が前に出て戦わなくても、パーティー全体の力を大きく引き上げることができる。
アレンは新しい聖女をしばらく眺める。
そして、今回のダンジョンでの様子を思い返す。
先代の聖女に劣らず可愛いな。
アレンが新しい聖女を観察した結果の感想は、それだった。




