聖女の実力
勇者と聖女とSランク冒険者は50階層のボス部屋に入る。
扉が閉まると同時に、ボスがこちらを向いた。
50階層のボスは、これまで勇者候補が誰一人として突破できなかった相手だ。
Sランクパーティーも警戒しながらボスの動きを見る。
ボスが低く身構える。
次の瞬間、猛烈な勢いで攻撃を仕掛けてきた。
聖女は動かない。
自分と勇者の前に結界を展開し、ボスの攻撃をそのまま受け止める。
凄まじい衝撃が結界を揺らす。
それでも聖女の結界には、ひび一つ入らない。
続けて二度、三度とボスが攻撃を繰り出す。
そのたびに結界が攻撃を受け止める。
聖女は結界の向こうにいるボスを見ながら、落ち着いた表情をしていた。
結界が破られる気配はない。
「聖女、問題なさそうだな」
勇者が声をかける。
「はい。一人が戦う相手ではありませんから、3発も受けれれば後は仲間がなんとかするでしょう」
聖女はそう答える。
Sランクパーティーも聖女の結界を見ていた。
この強烈な攻撃を何度受けても、結界は揺らぐだけで崩れる様子がない。
だが、聖女にとってはまだ余裕のある状況だった。
勇者はボスを見る。
聖女がこのまま戦っても問題はない。
それでも勇者は、目の前の戦いを長引かせる必要はないと判断した。
「時間の無駄だから俺が倒すぞ」
勇者が前に出る。
ボスも勇者を敵と認識したのか、標的を変える。
勇者が攻撃を受け止め、すぐに反撃する。
一撃、二撃と攻撃を加えていく。
ボスも激しく抵抗するが、勇者の動きを止めることはできない。
Sランクパーティーは戦いに加わらず、その様子を見ているだけだ。
勇者とボスの戦いは、長くは続かなかった。
ほどなくして、ボスが倒れる。
50階層のボスが倒された。
Sランクパーティーは、これまで誰一人として突破できなかった50階層のボスが倒される瞬間を目の当たりにした。
勇者は倒れたボスを確認する。
そして周囲を見回した。
「これ以上先に進む意味もないな」
勇者は帰ろうとする。
50階層を突破した以上、ここから先まで進む必要はない。
すると、Sランクパーティーが勇者を呼び止める。
「ケルベロスの討伐をお願いする」
60階層にはケルベロスがいる。
そのケルベロスを倒しているのは勇者パーティーだけで、Sランクパーティーはまだ討伐していない。
Sランクパーティーはここまで、勇者たちの荷物持ちをしてくれていた。
そのこともあり、勇者はSランクパーティーからの頼みを受けることにした。
勇者は60階層へ向かうことを決める。
ケルベロスの討伐は、聖女とSランクパーティーで行うことになった。




