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ダンジョンの構造

このダンジョンの構造は、他のダンジョンとは少し違っていた。


いや、少しどころではない。


攻略する順番そのものが逆なのだ。


普通のダンジョンでは、まずそのランクに相当するモンスターが徘徊している階層を攻略する。


例えばAランクの冒険者が挑む場所なら、Aランクモンスターが徘徊している階層を進んでいく。


何度もAランクモンスターと戦い、経験を積みながら奥へ進む。


そして最後に待っているのが、Aランクのボスモンスターだ。


AランクモンスターとAランクボスモンスター。


同じAランクと呼ばれていても、その性質は大きく違う。


Aランクモンスターなら、強力な冒険者であればソロでも戦える。


もちろん簡単ではない。


それでも、個人の実力次第では倒すことができる。


しかし、Aランクのボスモンスターとなると話が変わる。


こちらは基本的にパーティーで戦うことを前提にしている。


一人で戦えるかどうかではなく、複数の冒険者が役割を分担して戦うことを想定した強さなのだ。


だから普通のダンジョンなら、


まずAランクモンスターと戦う。


↓


その階層を攻略する。


↓


最後にAランクボスモンスターへ挑む。


という順番になる。


冒険者は、実戦を重ねながら少しずつ強くなり、最後にボスへ挑戦する。


これが一般的なダンジョンだった。


ところが、アレンのダンジョンは違う。


30階層。


40階層。


50階層。


こういったランクの節目になる階層には、先にボスモンスターが配置されている。


ボスを倒せた者だけが、その先へ進める。


そしてボスを倒して次の階層へ進むと、そこから先には、そのランクに相当するモンスターが普通に徘徊している。


つまり、


ボスモンスターを倒す。


↓


そのランクのモンスターが徘徊する階層へ進む。


という、普通とは逆の構造になっていた。


これを考えたのはアレンだった。


アレンとしては、それほど難しいことを考えたわけではない。


「ボスを倒せるなら、その先に行っても大丈夫だろ」


それだけだった。


先に実力を確認しておけば、実力不足の冒険者が奥まで入り込むこともない。


ボスを倒せないなら、そこで戻ればいい。


倒せるなら、その先を自由に探索してもらえばいい。


アレンにとっては分かりやすい仕組みだった。


しかし、冒険者からすれば厄介だった。


本来なら、まずそのランクのモンスターと何度も戦える。


そこで戦い方を覚え、装備を整え、仲間との連携を高めてから最後のボスに挑む。


ところが、このダンジョンではいきなりボスが待っている。


しかもボスは、同じランクのモンスターより明らかに厄介だ。


「まだこのランクのモンスターと戦ったこともないのに、いきなりボスかよ」


そう思う冒険者が出てもおかしくない。


実際、それが原因で30階層や40階層、50階層では足止めされる冒険者が多かった。


ただし、37階層のリッチは話が別だった。


あそこはランクの節目でもなければ、通常の構造に沿ったボス階層でもない。


アレンが配置した特殊な階層だ。


だから37階層で苦戦している冒険者がいることと、この逆になった攻略順は直接関係していない。


そして、勇者候補たちはその37階層を突破した後、41階層から先へ進んでいた。


早い者なら、すでに50階層まで到達している。


41階層から49階層では、勇者候補の中に脱落者はまだ出ていない。


初めて見る階層でも、これまで身につけてきた実力で突破していく。


「このくらいなら問題ない」


そんな感覚だった。


そして50階層。


ここにも、このダンジョン特有の構造が待っている。


だが、それを知らない勇者候補たちは、50階層の先に進めばさらに強い敵が待っているのだろうと考えていた。


まさか自分たちが、普通のダンジョンとは攻略の順番が逆になっていることを、ここまで来て初めて理解することになるとは思っていなかった。

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