三本目の聖剣
勇者は引退を発表した。
しかし、次の勇者はまだ決まっていない。
勇者の装備も、まだ引き継がれていなかった。
現在確認されている聖剣は二本。
その二本とも、現在の勇者が持っている。
勇者には代々受け継がれている聖剣があり、次の勇者が決まれば、それは次代の勇者へと引き継がれる。
だが、もう一本の聖剣については事情が違った。
エクスカリバー。
現在の勇者は、この聖剣を次の勇者へ引き継ぐつもりがなかった。
そんな中――
世界で三本目の聖剣が確認された。
しかも、その場所が問題だった。
パチンコ屋だった。
聖剣がパチンコの景品として交換できる。
その噂は、勇者を目指している者たちの間で一気に広がった。
「聖剣を手に入れれば、勇者に近づける」
そう考えた勇者見習いたちは、次々とアレンのダンジョンへ押し寄せてきた。
ダンジョンに挑む勇者見習いの数が、一気に増えた。
アレンはその様子を見ていた。
「勇者見習いが増えたな」
しかも、全員ソロだ。
理由は単純だった。
まだ勇者として認定されていないからだ。
現在の勇者には、すでに正式なパーティーがある。
勇者として認められた者を中心に、仲間を集めて結成されたパーティーだ。
だが、勇者見習いにはまだそれがない。
次の勇者が誰になるのか決まっていない以上、勇者としてのパーティーを結成することもできない。
だから、今は一人で挑むしかない。
アレンはダンジョン内を進んでいく勇者見習いたちを眺めた。
「勇者を目指してるだけあって、結構強いな」
だが、アレンには一つ気になることがあった。
現在の勇者は、ソロでケルベロスを撃破できる実力者だった。
もちろん現在はパーティーを組んでいる。
しかし、勇者になる前から、それだけの力を持っていたということだ。
「こいつらはどうなんだ?」
勇者見習いたちは、聖剣を手に入れたい。
そして、その聖剣を手にして勇者に近づきたい。
だが、聖剣を持つだけで勇者になれるわけではない。
「一人でケルベロスを倒せるくらいの実力はあるのかな?」
アレンは興味を持った。
せっかく大勢の勇者見習いが来ている。
ならば、彼らがどこまでやれるのか見てみればいい。
アレンはマスタールームから、勇者見習いたちの動きを追うことにした。
「さて……誰が一番先まで行けるかな」
アレンはモニターに映る勇者見習いたちを眺めながら、その戦いを見守ることにした。




