宝石コレクション
セレスティアとフローラは王妃様の宝石コレクションを見せてもらっていた。
王妃様のコレクションには、これまでダンジョンの宝くじ箱から出た宝石が数多く並んでいる。
ダンジョンの宝くじ箱の二等の宝石は、セレスティアもフローラも持っている。
しかし、特賞の宝石は二人とも持っていない。
これまで特賞で出た宝石は、全て王妃様に献上されているからだ。
しかも特賞の宝石は、二等の宝石とは比べものにならないほど大きい。
「この宝石のデザイン、素敵ですね」
セレスティアが巨大な宝石を眺めながら言う。
「こちらは輝きが違いますね」
フローラも別の宝石を見ながら感心する。
大きな宝石だからこそ、光を受けたときの存在感も凄い。
「宝石の魅力を最大限に活かしたカットですわね」
セレスティアは宝石をじっくりと眺める。
ただ大きな原石を削っただけではない。
どの角度から見ても美しく見えるように加工され、光を受けたときに輝きが広がるようにカットされている。
「こんな大きな宝石を、これほど綺麗に加工できるなんて……」
フローラも感心している。
三人は宝石を眺めながら、ダンジョンが生み出した技術の凄さを改めて感じていた。
「いつまでもダンジョンに頼っていたくありませんわね」
セレスティアが言った。
「そうですわね」
フローラも頷く。
「原石は取れるのですから、研磨技術とカット技術が上がれば再現できますわ」
ダンジョンから宝石が出てくること自体は素晴らしい。
しかし、宝石の原石なら国内でも採れる。
ならば、ダンジョンから出てくる完成品を見本にして、自分たちの技術を高めればいい。
「それでも最近出回る宝石はデザインが素敵になりましたわね」
フローラが言う。
「ダンジョンが可能性を見せてくれたからですわ」
王妃様も宝石を眺めながら答えた。
これまでの宝石加工では、職人たちが経験から美しい形を作っていた。
しかし、ダンジョンから次々と今まで見たことのないデザインの宝石が出てきたことで、職人たちも新しい加工方法を考えるようになった。
ダンジョンが答えを与えてくれたわけではない。
だが、目標となるものを見せてくれた。
それだけでも大きな意味がある。
「少しでも学んで、再現できる物を増やしましょう」
セレスティアが言う。
「ええ」
フローラも頷いた。
王妃様も満足そうに微笑みながら、コレクションを眺めている。
三人は、目の前に並ぶ巨大で美しい特賞の宝石を見ながら、いつか自分たちの国の職人だけで同じような宝石を作れるようになればいいと思っていた。
だが、三人はまだ知らない。
特賞の巨大な宝石は人工宝石で、日本では二等の天然宝石のほうが高価だった。




