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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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Sランク冒険者の現状

Sランクパーティーは、60階層にいるケルベロスに挑むつもりはなかった。


一度、60階層の扉を開けて中を確認したことはある。


そこにいたのがエンシェントドラゴンではなくケルベロスだと分かっても、彼らは戦わずに引き返した。


ケルベロスが弱いわけではない。


ただ、今の自分たちが無理をしてまで挑む必要はないと判断したのだ。


それでも彼らは、今日も50階層を周回していた。


理由は単純だった。


「やっぱり、この装備いいな」


「こっちは前に出たやつと同じだな」


「いや、こっちは付与効果が違う」


彼らは装備オタクだった。


強い装備が手に入ると、それだけで嬉しい。


珍しい装備が出れば、さらに嬉しい。


お金があれば、食事や酒に使うよりも装備につぎ込む。


その結果、彼らの装備コレクションは、とんでもないことになっていた。


武器、防具、盾、装飾品。


同じ種類の装備でも性能が違えば集める。


見た目が違えば集める。


自分たちが使わない装備まで保管している。


最初の頃は、Aランクボスから装備がドロップするだけで大喜びしていた。


しかし、人間とは慣れてしまう生き物だ。


何度も50階層を周回しているうちに、Aランクボスのドロップ装備では満足できなくなっていた。


「またこれか」


「持ってるな」


「これも二つ目だ」


「じゃあ売るか」


被った装備は売りに出す。


そして、その金でまた別の装備を買う。


オークションにも積極的に参加した。


珍しい装備が出品されれば、迷わず入札する。


「それ、欲しかったやつだ!」


「いくらまで出す?」


「全部だ!」


そんな調子で装備を買い続ける。


いつの間にか、彼らの活動は冒険者というより、装備を集めるための資金を稼ぐ冒険者になっていた。


そんな彼らが持っている装備の中でも、特別なものがある。


それは、勇者がくれた装備だった。


Sランクボスからドロップした装備。


勇者は「自分には必要ないから」と言って、彼らに譲ったのだ。


Sランクパーティーにとって、それは最高級のコレクションだった。


「やっぱり、これが一番だな」


「Sランクボスの装備だからな」


何度見ても飽きない。


実際に装備して使うこともあるが、それ以上に、その装備を所有していることそのものが嬉しかった。


しかし、その装備を手に入れてから、彼らの中に新しい欲が生まれていた。


Sランクボス。


今まで自分たちが戦ったことのない存在。


勇者から譲ってもらった装備ではなく、自分たちの手でSランクボスを倒して手に入れた装備が欲しい。


「……Sランクボス、倒してみたいな」


「俺もそう思ってた」


「問題は、俺たちだけじゃ無理だ」


Sランクボスに挑むなら、Sランク冒険者を集める必要がある。


一つのパーティーだけではなく、複数のSランク冒険者による大規模なパーティー。


それだけの戦力を集める必要がある。


話しているうちに、彼らの気持ちはどんどん強くなっていった。


ケルベロスに挑むつもりはない。


だが、いつかSランクボスを倒したい。


そして、自分たちでSランクボスのドロップ装備を手に入れたい。


「Sランク冒険者を集めるか」


その一言に、全員が頷いた。


50階層を周回して装備を集める日々は、まだ終わらない。


むしろ、彼らにとってはSランクボスへの挑戦に向けた準備が始まったところだった。

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