巨大迷路
アレンはダンジョンの中で、ポイントについて考えていた。
滞在している人間からポイントが入る。
だが、それだけではない。
施設を作るにはポイントが必要だが、一度作ってしまえば維持費はほとんどかからない施設も多い。
ならば、施設を利用する人間を増やせばいい。
そう考えながら、アレンは冒険者や騎士たちの様子を見ていた。
そこで、あることに気づいた。
騎士団がアスレチックで訓練している。
走る。
跳ぶ。
登る。
また走る。
同じ時間をダンジョンで過ごしていても、ただ生活している人間より、アスレチックで激しく体を動かしている騎士たちのほうが多くポイントを生み出していた。
「……そういうことか」
アレンは気づいた。
歩くより走ったほうがエネルギーを使う。
ならば、歩かせるより走らせたほうがいい。
ただ走れと言っても、誰も喜んで走ってはくれない。
「だったら、走りたくなる仕組みを作ればいい」
アレンは考える。
「巨大迷路でも作るか」
巨大な迷路を作り、制限時間を設定する。
その時間より早く出口へたどり着いた者には景品を出す。
これなら、挑戦者は景品を手に入れるために迷路の中を走り回る。
道を間違えれば引き返す。
また走る。
別の道へ進む。
結果的に、かなりの運動量になる。
「これならポイントも増えるはずだ」
アレンはさっそく巨大迷路を作った。
ダンジョンランドの中ではない。
ダンジョンの別の場所に、巨大な迷路を新しい施設として作った。
広大な敷地に壁が並び、いくつもの分かれ道が作られている。
一本道ではない。
行き止まりもあれば、何度も分岐する場所もある。
入口には設定タイムが表示され、時間内に出口までたどり着けば景品がもらえる。
完成した巨大迷路を見た冒険者たちは興味を持った。
「面白そうだな」
「景品がもらえるのか?」
「この時間以内に出ればいいんだろ?」
最初の挑戦者が迷路へ入っていく。
最初は順調だった。
しかし、しばらくすると――。
「こっちじゃない!」
行き止まりだった。
挑戦者は慌てて引き返す。
別の道へ走る。
そしてまた分岐。
「どっちだ!?」
迷っている時間もない。
設定タイムがあるからだ。
挑戦者はさらに走る。
間違えた道を戻る。
また走る。
迷路の外で見ていた人たちも盛り上がっていた。
「そっちは違う!」
「戻れ!」
「時間がないぞ!」
そして、なんとか出口へたどり着いた挑戦者が景品を受け取る。
「やった!」
その姿を見て、別の冒険者も挑戦したくなる。
「俺ならもっと早く出られる」
こうして挑戦者が次々と現れた。
一度失敗した者も諦めない。
「次は絶対にクリアする」
「さっきの分岐は間違えた。次は最初から別の道を行く」
何度も挑戦する者まで現れた。
アレンはその様子を見ながら、ポイントの増え方を確認していた。
「……やっぱり増えてるな」
巨大迷路を走り回ることで、人間のエネルギー消費が増える。
その結果、ただ生活しているよりも多くのポイントが入ってくる。
施設を作るためにポイントは使った。
だが、維持費はほとんどかからない。
「作戦成功だな」
アレンは満足した。
巨大迷路は、ただの遊び場ではなかった。
挑戦者は景品を求めて走り回る。
そしてアレンは、その運動によってポイントを得る。
「こういう施設を増やしていけばいいのか」
巨大迷路には、その後も次々と挑戦者が現れるようになった。




