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イベントホール

アレンは学園の予定表を眺めていた。


ダンジョン内に分校を作ってから、生徒たちは授業だけではなく、友人を作ったり、部活動を始めたりと、少しずつ普通の学園らしい生活を送るようになっていた。


しかし、まだ学園らしい大きなイベントがない。


アレンは学園行事について考えた。


本校の生徒をダンジョンへ招いて、分校の生徒と一緒に楽しめるイベントを開催する。


普段は王都で生活している生徒と、ダンジョンで生活している生徒が交流する機会にもなる。


舞踏会など面白そうだ。


そう考えて案を出すと、本校の生徒を分校へ招くことについて反対意見が出た。


本校は王都にある歴史ある学園だ。


新しく作られたダンジョンの分校へ、本校の生徒たちを大勢向かわせることに抵抗を感じる者がいるのも当然だった。


アレンは少し考えた。


そこで、特別ゲストを参加させることにした。


王妃。


セレスティア。


そしてフローラ。


三人が特別ゲストとして参加すると発表されると、それまで出ていた反対意見はなくなった。


王妃が参加する学園行事。


それだけで、本校の学園側としても無視できない行事になる。


さらにセレスティアとフローラまで参加する。


合同舞踏会は一気に大きなイベントになった。


アレンはそこで、別の問題に気づいた。


今後も学園祭や発表会、式典などを開催することを考えれば、そのたびに会場を用意するのは面倒だ。


「ダンジョンランドにイベントホールがあると便利だな」


アレンはダンジョンコアに建設を指示した。


ダンジョンランドの一角に、大規模なイベントホールが作られていく。


広いホール。


大人数を収容できる客席。


舞台。


控室。


料理を提供できるスペース。


舞踏会にも対応できるよう、中央には広い空間が確保された。


そして、完成したイベントホールで合同舞踏会が開催された。


本校と分校の生徒たちが次々と会場へ入っていく。


最初は互いに緊張していた。


本校の生徒はダンジョンの分校を珍しそうに眺め、分校の生徒は王都から来た本校の生徒を少し遠慮がちに見ている。


しかし、音楽が始まると空気が変わった。


最初の曲で踊り始める生徒が増えていく。


一組、また一組と中央へ出ていき、やがてホールの中央は多くの生徒で埋まった。


踊り終えた生徒たちは飲み物を片手に会話を始める。


本校の生徒がダンジョンでの生活について尋ねれば、分校の生徒が授業や町の様子を説明する。


分校の生徒も王都の学園生活について質問し、いつの間にか学校の違いを比べながら盛り上がっていた。


「ダンジョンにこんな場所があるなんて知らなかった」


「こっちではこんな授業もあるんだ」


そんな声があちこちから聞こえる。


最初にあった距離感は、もうほとんど残っていなかった。


そして会場の一角には、特別ゲストとして王妃、セレスティア、フローラの姿がある。


三人の周囲には自然と人が集まり、会場はさらに華やかな雰囲気になっていた。


王妃が生徒たちに声をかければ、緊張していた生徒も嬉しそうに答える。


セレスティアの姿を見た生徒たちからは歓声が上がり、フローラの周囲にも多くの生徒が集まっていた。


やがて二曲目、三曲目と進み、会場は最初の緊張が嘘のような賑わいになった。


笑い声。


音楽。


談笑する声。


そして中央で踊る生徒たち。


舞踏会は大盛況だった。


アレンはその様子を眺めながら、イベントホールを作って正解だったと思った。


学園の生徒たちが楽しんでいる。


本校と分校の生徒も自然に交流できている。


これなら、次の学園行事もここで開催できそうだ。


一つのイベントを開催するために作ったはずのホールだったが、今後はダンジョンランドに欠かせない施設になりそうだった。

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