公爵令嬢セレスティア
セレスティアは自室でお茶を嗜んでいた。
静かな午後。
メイドがセレスティアに声をかける。
「お嬢様、最近王城に行かれていませんね」
「用事がないもの」
セレスティアは紅茶を口に運ぶ。
「王妃教育は終わっているから、王城に用事がないわ」
「王太子様に会われるとか……」
「不要よ」
セレスティアは即答した。
「私が王城に行っていたのは、王妃様に会うためなの。今は王妃様がダンジョンに住んでいらっしゃるから、王城に行く理由がないわ」
少し考える。
「……王妃様に会いたくなったわ」
セレスティアは立ち上がった。
「準備して頂戴」
「かしこまりました」
セレスティアはそのままダンジョンへ向かった。
ダンジョンにある王妃の屋敷を訪ねると、すぐに王妃が出迎えてくれた。
「まあ、セレスティア。いらっしゃいませ」
「王妃様に会いたくなりまして」
「嬉しいことを言ってくれますわね」
二人は屋敷の中でお茶を嗜んでいた。
しばらく話をしていると、ダンジョンからまた荷物が届いた。
「またダンジョンから服が届きましたわ」
王妃が箱を開ける。
中にはセレスティアのための服が入っていた。
「あなたも気に入られましたね」
「光栄ですわね」
セレスティアは服を手に取る。
「着替えて来ますわ」
「ええ、見せてくださいませ」
しばらくして、着替えたセレスティアが戻ってきた。
王妃はセレスティアを見て微笑む。
「なかなか似合ってますよ」
「ありがとうございます」
セレスティアは自分の服を眺める。
「私ではチョイスしない組み合わせですわ」
「でも、とても似合っていますわ」
セレスティアは服を見ながら考える。
「服からも分かりますが、文明レベルが進んでますわね」
「ええ。ダンジョンから届くものを見るたびに驚かされますわ」
「隣国との摩擦について考えていたのですが、ダンジョンマスター様からアイデアを貰いましたわ」
王妃が目を向ける。
「政治の分野までですか?」
「ええ。ダンジョンの存在は、いろいろなことを考えるきっかけになりますもの」
そこへ侍女が手紙を持ってきた。
「またお手紙が届きましたわ」
王妃が封を開ける。
手紙を読み、王妃がセレスティアを見る。
「セレスティア、あなたダンジョンに住まないかしら」
「私がですか?」
「ダンジョンマスター様が、あなたに住居を与えるそうよ」
セレスティアは少し驚いたが、すぐに笑顔になった。
「是非」
こうしてセレスティアはダンジョンに住むことを決めた。
翌日。
王妃の屋敷の隣には、セレスティアのための立派な屋敷ができていた。
「まあ……素敵なお屋敷ですわね」
セレスティアは屋敷を見上げる。
王妃の屋敷はすぐ隣だ。
これならいつでも王妃に会いに行ける。
セレスティアは嬉しそうに屋敷へ入っていった。
その様子をマスタールームから眺めていたアレンが呟く。
「また美人の顔が眺められる」
アレンは満足そうに頷く。
「後は聖女様来ないかな」




