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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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王妃様の泣き顔

アレンはダンジョンランドの施設を増やすことにした。


今あるのは温泉とサウナ、遊園地、ボウリング、ダーツ、ビリヤード、お化け屋敷。


それなりに施設は揃ってきたが、ダンジョンランドに来る客はまだ王妃の紹介が中心だ。


外から客を呼ぶには、もっと「ここに行ってみたい」と思わせる施設が必要だった。


そこでアレンが新しく作ったのが、映画館と巨大なアスレチックだった。


「映画館とアスレチックだ」


これなら、この世界の人間にも新しい娯楽として受け入れてもらえるかもしれない。


まずは王妃に体験してもらい、気に入ってもらえたら、相応しい人を紹介してもらおう。


しばらくして、王妃がダンジョンランドを訪れた。


「本日は新しい施設をご用意いただいたと伺ってますわ」


王妃の前には、巨大なアスレチックが広がっている。


高い壁。


丸太の足場。


綱を使って渡る場所。


身体を使わなければ進めない障害物がいくつも並んでいた。


王妃はしばらく眺めていたが、自分が挑戦するには少し大変そうだ。


「これは……わたくしが挑戦するのでしょうか?」


その言葉を聞いた近衛隊長が前に出た。


「王妃様、私が代わりに挑戦いたします」


「お願いしますわ」


近衛隊長がアスレチックへ入っていく。


最初の壁を軽々と越える。


続いて丸太を渡り、綱を掴んで次の場所へ移動する。


騎士団の中でも屈指の身体能力を持つ近衛隊長だけあって、動きに無駄がない。


「さすがですわ」


王妃が感心して見守る。


だが、進むほどに難易度が上がっていく。


近衛隊長の額にも汗が浮かび始めた。


「これは……なかなか厳しいですな」


それでも足を止めることなく進んでいく。


最後の障害を突破すると、近衛隊長は地面に降り立った。


「ふぅ……」


息を整えながら、近衛隊長はアスレチックを振り返る。


「これはいい訓練になります」


「訓練ですの?」


「はい。身体能力だけでなく、瞬発力やバランス感覚も鍛えられます」


王妃は楽しそうに笑った。


「訓練だけではなく、楽しんでくださいませ」


「もちろんです。ですが、騎士団で利用すれば、かなり良い訓練になりそうです」


アスレチックを見上げる近衛隊長の目は、すでに訓練施設を見る騎士の目になっていた。


そして次は映画館だ。


「映画館に王妃様が来たぞ」


王妃が映画館へ入る。


中は薄暗く、正面には大きなスクリーンがある。


「ここで映画を見るのですわね」


王妃が席に座る。


映画が始まった。


アレンはどの作品を上映するか考えていた。


「恋愛映画にしよう」


せっかく王妃が来ている。


普通の恋愛よりも、どうせなら印象に残るものがいい。


「どうせなら悲哀だ」


選ばれたのは、切ない恋愛映画だった。


物語が始まり、王妃は静かにスクリーンを見つめる。


最初は興味深そうに見ていた。


だが、物語が進むにつれて、王妃の表情が少しずつ変わっていく。


そして物語の途中――。


王妃の目から、涙がこぼれた。


「……」


王妃は慌ててハンカチを取り出す。


それでも映画から目を離すことはできない。


また涙がこぼれる。


「王妃様が途中で泣き出したよ」


その様子を見ていたアレンは、少し驚いた。


そして泣いている王妃を見ながら、ぽつりと呟く。


「美人は泣き顔も可愛い」


映画はそのまま最後まで上映された。


上映が終わると、王妃は涙を拭いながらスクリーンを見つめていた。


「……素晴らしい映画でしたわ」


映画の余韻が残っている。


王妃はしばらく席を立たず、最後まで物語のことを考えていた。


そして王妃は、ダンジョンランドの新しい施設を気に入った。


後日、王妃の紹介によって騎士団がダンジョンランドを訪れるようになった。


「今日も訓練だ!」


騎士たちは巨大アスレチックへ向かっていく。


「これはいい訓練になるぞ!」


次々と障害を突破していく騎士たち。


アスレチックは、いつしか騎士団にとって欠かせない訓練施設になっていった。


一方、映画館にも王都から客が訪れるようになった。


特に令嬢たちの間で映画が話題になった。


「あの映画をご覧になりました?」


「ええ、最後が本当に……」


映画を見た令嬢たちは、感想を語り合う。


誰がどの作品を見たのか。


どの場面が印象に残ったのか。


そんな話をするために、令嬢たちは映画館へ集まるようになった。


いつしか映画館は、令嬢たちの新しい社交場となった。


アスレチックは騎士団の訓練施設に、映画館は令嬢の社交場となった。

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